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理不尽だったり、行き過ぎたりする校則は「ブラック校則」と呼ばれています。サタデーパレットではこれまでに2回、県内の学校の校則の話題をお伝えしてきました。
<過去の校則についての特集記事はこちらから>
校則特集 第一弾 気になる校則・中学校編 下着は白、三つ編み・ツーブロック禁止、汗拭きシートは許可しない
校則特集 第二弾「『下着は白』は教師の幻想」尾木ママが斬る大分の気になる校則 高校編
「ブラック校則」については全国的に見直しの動きが広がっていて、大分県でも2021年6月、県教育委員会が県立高校に対し、生徒と校則についての話し合いの場を持つように通知して、見直しが進められています。そうした中、視聴者から「黒いタイツの着用禁止されている高校がある」との情報がテレビ大分に寄せられました。一体どういうことなのか、スタッフは情報公開請求で取り寄せた全ての県立高校の校則を改めて見直してみました。
――ディレクター
「見つけました!ストッキングに関する規定、履くものに関する規定がここにありますね。防寒用のストッキングはベージュ色で無地の着用を許可します。黒いタイツは認められていないようですね」
調査の結果、黒いタイツの着用を禁止している県立高校は2校あることが判明しました。この校則、街の人たちはどう思うのでしょうか。
――黒タイツの着用が認められている高校生
「(冬場のスカートは)めちゃくちゃ寒いです。黒がベストだと思います」
――街の人
「色を指定する理由は特に無いのかなと思います」
「私たち黒はいていたよ、昔。肌色じゃなくてね」
「黒の方がいいと思いますけどね。家計的にも。厚い暖かそうなやつとかもあるから。肌色はあんまり選べないですよね」
「肌色より黒い方が暖かそうにも見えますし、セーラー服とかは冬は紺色のイメージがあるので、(黒は)逆に統一感があっていい気がします」
では、専門家はどう思うのか、人間工学や感性工学の視点で服の着心地などを研究する日本女子大学の横井孝志教授に聞きました。
――服の着心地などを研究する日本女子大学・横井孝志教授
「糸の太さとか全部同じ条件で、色だけ違いということであれば、黒が暖かいんですね。日の光を受けた時に、黒というのは光を吸収するから。吸収した光のエネルギーというのは
どうなるかというと、熱に代わるんですね。熱をたくさん発生するということです。それで暖かく感じる。体のことを考えると、寒いときに黒いタイツを履いていた方がベターではあると思うんですね」
ただし、「黒いタイツが禁止」という校則の是非についてはこう指摘しました。
――服の着心地などを研究する日本女子大学・横井孝志教授
「校則が決まった背景とか、校風とか、歴史的な経緯とかそんなのを総合的に考えないと、一概にいいともダメとも言えないんじゃないかと思いますけど」
そこで、黒いタイツ禁止する2つの高校に理由を聞いてみました。
――黒タイツを禁止するA高校の見解
「認めている靴下は白のみです。黒いタイツとはバランスが取れません。生徒から要望があがっていて検討しているものの、制服には歴史や伝統があるのですぐに認めるのは難しいです」
――黒タイツを禁止するB高校の見解
「女子生徒の靴下は学校指定の紺色のハイソックスで、ハイソックスも制服です。黒いタイツに紺のハイソックスはおかしいです。生徒からの要望もあがっていません」
さて、黒いタイツを禁止する高校のこうした理由について、尾木ママの愛称でおなじみ、教育評論家の尾木直樹さんに見解を聞きました。
◆黒タイツ禁止の理由その① 「学校指定の靴下とのバランスが取れない」に対する見解
――教育評論家・尾木直樹さん
「ソックスに全部合わせようとしているのね。まるで靴に足を履かせようという論法と同じで、そこには無理があると思いますよね、どう考えても」
◆黒タイツ禁止の理由その② 「歴史と伝統」に対する見解
――教育評論家・尾木直樹さん
「歴史の発端、スタート地点はどこにあたるのかというのが問題ですよね。100年前とか、明治、大正、あるいは戦前の軍国主義教育が謳歌していたあの時代の歴史であり、伝統だったら、むしろそれは否定しなきゃいけないことなんですよ。未来の主権者を育てようとしているのが学校ですよね。学校の主人公は生徒なんですよ。間違いなく」
◆黒タイツ禁止の理由その③ 「生徒から要望があがらない」に対する見解
――教育評論家・尾木直樹さん
「ちょっと失礼な言い方になって申し訳ないのですが、声も上がらないような生徒にしてしまっている結果ですよ。本心が表に出ていないだけ、そして、あきらめが出ているだけでむしろそれは非教育的ですよね。うっかりすると、声があがってこないというのは心にまで制服を着ているのではないかと。心に制服を着たらダメですよ」
厳しい見解を述べる尾木さんですが、それは「学校の主人公は生徒」であることを忘れないで欲しいという思いからです。生徒たちが主体的に校則を決めて欲しいとエールを送ります。
――教育評論家・尾木直樹さん
「大分の高校生の皆さん、18歳成人が目の前にやってくるわけですから、それにふさわしいような力をつけて主権者として生きていってほしいと思います。そのためには自分たちの学校のルールは自分たちが先生方と協力して作り上げるというそこの一歩を是非、勇気を出して踏み出してほしいと思います」
「黒タイツ禁止」というちょっと気になる校則がある一方、大分県内の高校では校則の見直しが進んでいるところもあります。この冬から黒いタイツの着用を認めた高校では「厚手のものは黒の方が多い」など生徒の要望を受けて変更し、白のみだった靴下は黒や紺も認めるようにしたということです。また、膝掛けを認めた高校では、使用は教室に限ることや巻いたまま歩いたりしないなどのルールを生徒たち自身で決めました。
一方、女子生徒の制服を巡っては新しい取り組みが広がっています。別府市の別府翔青高校では2021年11月から女子生徒の制服にスラックスを取り入れました。多様性への配慮や防寒対策を兼ねて導入を決めたといいます。上着はこれまでと変わりはなく、スラックスは既存の制服に合うようにデザインされています。別府翔青高校では当初、スラックは2022年度から導入予定でしたが、生徒たちからの要望もあり、予定を5か月早めました。
――スラックスを着用する生徒は
「すごく動きやすくて、(スカートだと)冬は本当に寒いのでスラックスが導入されて本当の助かっています」
「これからもっと自分自身の表現したいところを表現できる素晴らしい世の中になっていくための1歩につながっているんじゃないかなと思います」
冬場は「寒い」という声が聞かれるスカート。防寒に使える黒いタイツを禁止する校則が残る一方、スラックスという新たな選択肢が広まりつつあります。
2022年2月5日放送のサタデーパレットより
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