「『下着は白』は教師の幻想」尾木ママが斬る大分の気になる校則 高校編

2022年01月02日 10:00更新

高校の校則の実態は

 

サタデーパレットでは2021年5月に中学校の校則について取り上げたところ、視聴者の皆さんから多くの反響が寄せられました。また、反響は県議会でも…

 

 

――後藤慎太郎 県議

「大分県のテレビ局が大分市の全ての中学校、小中一貫校、義務教育学校あわせて27校分の校則を調べたと。びっくりしたのが、『靴・靴下は白のみ』『下着は白。絵柄はハガキの大きさまでとか』」

 

県議会の一般質問で取り上げられ、高校の校則についてのこんな実態も明らかになりました。

 

 

――岡本天津男 県教育長

「今年度当初、県立高校を対象に校則の調査を行いました。その中には夏服着用時の下着の色を限定したり、地毛の色を確認するために申請を要するといったものがありました。学校での指導にあたっては人権に十分配慮して行っています」

 

全国的に“ブラック校則”の見直しが進められる中、県内の高校の校則の実態を把握しようと、今度は県内全ての全日制の県立高校38校分(分校含む)の校則について、情報公開請求をして調べてみました。すると、ここでも気になる校則が・・・

 

県立高校の校則と各高校の見解(2021年6月時点)

 

◆『髪の毛の色やくせを届け出る地毛申請』

高校の見解:「学校生活の中でいらぬ軋轢を生まないようにするため。強制ではない」

 

◆『男女交際について、男女2人だけの行動は避けること』

高校の見解:「実際には男女2人だけのところを見つけても注意したりはしていない。昔の名残ではないかと思う」

 

◆『認める靴下の色は男子は白、黒、紺、茶、グレーの合計5色、女子は紺の1色のみ』

高校の見解:「女子は制服と靴下はセットだから。男子には制服とセットとなる正式な靴下はない」

 

◆『流行の髪型禁止』

高校の見解:「いつでも就職面接や入試に行ってもいいような髪型にするのが原則だという指導の一環。流行の髪型の判断は難しい」

 

◆『ジャンパーなどの防寒着禁止』

高校の見解:「学校指定のコートは認めている。登下校時も学校の管理下にあるため、学校指定の服を着るべき。部活動のジャンパーなどには個人の名前の刺繡が入っているものもあり、個人情報を守るという理由もある」

 

”尾木ママ”に聞く 大分の校則

 

 

こうした大分の気になる高校の校則について、尾木ママの愛称でおなじみ、教育評論家の尾木直樹さんに聞きました。

 

 

まずは下着に関する校則について。制服の下に着るシャツなどの校則は8割近くの高校で確認されました(全38校中29校)。色を白に限定しているところもあったと尾木さんに伝えると・・・

 

 

――教育評論家・尾木直樹さん

「白というのは清潔感にあふれていますよね。『子供たちは清潔感にあふれた純粋であってほしい』みたいな教師の幻想だと思いますよ」

 

 

続いては髪型について。染めるなど髪の毛の加工は全ての高校で禁止されていましたが、その4割近く(全38校中14校)では「色」や「くせ」といった地毛の特徴を申請書などで高校に伝えるよう求めていました。中には小学生以前の写真の提出を求めるところも…

 

 

――教育評論家・尾木直樹さん

「これは完全に身体に関わること。制服の着用の強制とかとはレベルが違う。ダイバーシティ・多様性というのが求められている社会なわけですよね。証明を出せだとか、小学生の時の写真を添付しろとかですね、これは、ありえない」

 

そして、男女交際について「男女2人だけの行動は避けること」とする校則について。高校では「実際には注意はしていない」という見解でしたが・・・

 

 

――教育評論家・尾木直樹さん

「(学校には)良くも悪くも古いものが残っていくんですね。狭い閉じた空間だからです。社会の風が全然吹いていないんです」

 

ただ、こうした厳しい意見の一方、尾木さんは学校をより良い学びの場とするためには校則自体は必要だと考えているそうです。

 

――教育評論家・尾木直樹さん

「校則は僕は必要だと思います。自らの学校のルールは自分たちで作って自分たちが守っていくという、民主主義のルールを担っていける主体を作っていかなくてはいけない。そこが抜けてしまうと、まったく意味がない」

 

県内でも進む 校則見直しの動き 

 

大分市にある大分県立大分西高校です。登校中の生徒たちをよく見ると、半袖や長袖の制服のほか、半そでにベストを重ね着している生徒もいました。取材した時期は6月末、多くの高校ではすでに夏服に移行していますが…

 

 

 

――大分西高校・田北聡教頭

「衣替えの時期を設けていません」

 

こちらの高校では気候や体調に応じて、生徒が自分で考えて制服を選べるよう、去年、校則を変更していました。校則については毎年、生徒と高校側が話し合う機会があるといいます。

 

――大分西高校・田北聡教頭

「毎年、生徒会を通じて、校則について要望があがっています。しっかり自分のことを考えて、主体的にものが言えて、行動できる生徒に育っていけばいいなと思っています」

 

こうした中、大分県教育委員会は2021年6月、すべての県立高校を対象に1学期中に生徒と学校で話し合う場を作るように指示しました。

 

 

――大分雄城台高校・堤荘司教頭

「校則に対する率直な意見を集約するためにアンケートを行いました」

 

大分市の大分雄城台高校では県教委からの指示を受けて、早速、全校生徒を対象にアンケートを行いました。

 

――大分雄城台高校・生徒会長

「こういう機会を設けられたのは生徒側からしたら、ありがたいこと。本音を話したり、先生からは本当はこうしてほしいとか、そういう要望が飛び交う話ができればいいかなと思っています。合理的な校則の改善が行われると思っています」

 

教育評論家の尾木さんもこうした取り組みは評価できると話していて、高校生たちにエールを送る。

 

 

――教育評論家・尾木直樹さん

「学校の主人公は誰かといったら、高校生のあなた、皆さんです。どういう生活スタイルだとやりやすいかなというのを皆で先生方と一緒に提案しあって、決めていってください。そしたら、自分たちの責任も伴いますから、守っていくというのがやりやすくなるわけですよね。期待していますよ。頑張ってね」

 

【2021年7月3日放送のサタデーパレットより】

 

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