大分市に談合の疑いを指摘 大学教授の研究グループがビッグデータ解析で「不自然なこと」を明らかに

2025年02月19日 17:30更新

官製談合事件で大分市では元部長など職員3人が逮捕されました。

 

これを受けて、足立市長は会見を開き、市の入札に談合の疑いがあることを外部から指摘されていたことを明らかにしました。

 

指摘したのは大学教授たちの研究グループ。膨大な入札結果の「ビッグデータ」を解析して、談合の疑いが明らかになったということです。

 

 

足立市長「京都大学から談合の可能性と連絡」

 

大分市のごみ収集業務の入札を巡る今回の事件では、官製談合防止法違反などの疑いで元環境部長など市の職員3人と落札した業者の元監査役が逮捕されました。

 

警察は、職員3人が予定価格を漏えいするとともに元監査役が希望する会社を入札に参加させた疑いがあるとみて調べています。

 

 

事件を受けて17日夜、緊急会見を開いた足立市長。

 

この中では、談合の疑いのある入札などについて、すでに把握していたことを明らかにし、そのきっかけについても言及しました。

 

 

ーー大分市・足立信也市長(17日夜)

 

「令和6年2月、京都大学から総務部契約管理課へ『大分市の入札では談合が行われている可能性が高い』との連絡があった」

 

 

 

 

談合の場合 不自然な状況に

 

談合の疑いは大学教授の研究グループが文書で指摘しました。

 

このグループのメンバーのひとりが京都大学の中林純教授です。

 

 

ーー京都大学大学院経済学研究科 中林純教授

 

「誰がいくらで入札するか、なんとなくわかった状態の入札はそうじゃない時に比べて不自然なことが起こるので、まずそれが一番のきっかけになる」

 

 

談合の可能性がある「不自然」な状況であるかを判定するのに行ったのは「ビッグデータ」の解析です。

 

 

全国864自治体の公共工事の入札について、2023年3月までの過去5年に渡る膨大なデータを統計的に分析。大分市だけでも2457件分を調べたといいます。

 

 

 

談合の場合 受注量に「差」

 

そして、談合が行われていなければ確率的には起こりえない状況に注目。

 

 

例えば、談合が行われている場合、受注できていない業者にほかの業者が「仕事をまわす」ということが想定されます。その場合、直近の受注量は僅差で入札に勝った業者が負けた業者よりも少なくなることが考えられます。

 

 

 

 

 

一方、健全に入札が行われている場合には、勝者と敗者の受注量は確率的には差がなくなります。

 

 

こうした「不自然さ」を調べた研究グループは、実際に談合が発覚した自治体のデータをもとに効果的な手法であることを確認。

 

 

そして、「談合の可能性が高い」と判明した大分市を含む全国56の自治体に対し、文書を送付したということです。

 

 

ーー京都大学大学院経済学研究科 中林純教授

 

「そもそも談合ができるには、天下りや役所から取ってはならない情報をもらっているとか、指名の段階で操作するとか、いろんなことが行われているはず。それがあって初めて談合なので、おそらくいろんなことが起こっていたのだろうと推測できる」

 

 

 

 

指摘を受けた大分市が過去の契約を調べたところ、実際に談合が疑われる入札が見つかり、契約のあり方の見直しを進めているということです。

 

 

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