「1週間で最低60万円の報酬」とSNSで誘われた男 14人から約2100万円を騙し取った罪で実刑判決

2024年05月09日 20:00更新

還付金があると偽り、大分市内の女性などから、あわせておよそ2100万円をだまし取ったとされる、東京都の男の判決公判が9日、大分地裁で開かれ、懲役3年6か月の実刑判決が言い渡されました。

裁判資料からは男が事件に至る動機や手口が見えてきました。

電子計算機使用詐欺と窃盗の罪で実刑判決を受けたのは、東京都青梅市の無職三部裕希被告25歳です。

検察側の資料によりますと、三部被告は2021年にツイッター(現エックス)で知り合った男から「特殊詐欺の仕事をすれば1週間で最低60万円の報酬がもらえる」などと誘われたそうです。

すぐには男の誘いに応じなかったものの「1週間だけでもいいので出し子の仕事をしないか」と再度誘われ、楽に大金が稼げる仕事だと思い、詐欺グループの出し子となったということです。

資料では、詐欺グループの指示役から指示を受けて被告が事件への関与を繰り返していったことも指摘されています。

判決などによりますと、被告は詐欺グループと共謀して2021年10月、全国銀行協会の職員を名乗って、埼玉県に住む高齢者を訪ねると、キャッシュカード2枚を受け取って封筒に入れた上、本人が目を離したすきに被告があらかじめ用意していたトランプ入りの封筒とすり替えます。こうして窃取したキャッシュカードをコンビニエンスストアなどのATMを使って現金150万円をだまし取ったとされています。

ほかにも、この年の12月、大分市役所の職員を名乗り、「介護保険料の還付金を受け取ることができる」などとして、市内の当時60代の女性からおよそ50万円をだまし取るなどしたということです。

こうした手口で、14人からあわせておよそ2100万円をだまし取ったとされています。

9日の判決公判で、大分地裁の辛島靖崇裁判官は「特殊詐欺グループを背景とした組織性、計画性の高い犯行。高額の報酬欲しさに実行行為そのものを担当するなど必要不可欠な役割を反復していて、役割に応じた非難は免れない」などと指摘。

一方で「還付金詐欺の実質的被害者5人との示談が成立していることや、犯行を認めて反省の態度を示している」などとして懲役5年の求刑に対し、懲役3年6か月の実刑判決を言い渡しました。

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