大分・2人死亡の強盗殺人事件初公判 男は「僕は犯人ではない」検察は「被告の車に被害者のDNA」

2024年05月20日 13:00更新

2020年、大分県宇佐市安心院町の住宅で、親子2人を殺害し現金を奪った罪などに問われている男の裁判員裁判が20日から大分地裁で始まりました。佐藤翔一被告は「全て僕はやっていません、僕は犯人ではありません」などと起訴内容を否認し、無罪を主張しました。

起訴状によりますと、佐藤被告は2020年2月、盗み目的で住宅に侵入したあと、この家に住む山名高子さんと長男の博之さんを包丁やはさみなどで、何度も突き刺すなどして殺害した上、現金約8万8000円を奪った罪に問われています。

【初公判での双方の主張】

検察側は冒頭陳述で「被告人が事件当日乗っていた自動車のトランクから、被害者のDNA型と完全一致する血痕が検出された」と指摘。

その上で「被告には借金があり、返済のために犯行に及んだ。犯行後に由布市内のコインランドリーで、身に着けていたジャンパーや、事件現場から持ち去った履物などを洗濯機に入れ洗濯した。その後、ゴミ集積場に投棄するなど、アリバイ工作や証拠隠滅を行っている。また、事件翌日、スマートフォンで、殺人、死刑、警察などに関することを検索していた」と主張しました。

また、「弁護側は、”事件2日前に、被告人がプロレスマスクをした男から、動画撮影の協力を依頼された。事件当日も複数人のプロレスマスクをした男と合流して運動靴を渡した。その後、その男から血の付いた服などの処分を依頼されて、承諾し、現金を得た”などと主張しているが、信用できない」などとしています。

一方、弁護側は「検察側の主張以外の真相があり得ることを証明する。被告は事件に巻き込まれた可能性がある。被告は当時、覆面を被った第3者と行動していて、謝礼と引き換えに撮影に協力するということになっていた。第3者からの指示で行動していた」などと主張しました。

捜査関係者によりますと佐藤被告は逮捕段階から否認していて、事件の争点や証拠の整理を行う公判前整理手続きは2年以上かけて行われました。

【事件当時の状況】
警察によりますと住宅の台所の流し台からは凶器とみられる包丁が見つかっています。また室内からは男性用のものを含む3種類の土足の後が見つかっていて、そのうちの1つは鼻緒がついたゴム底のサンダルでした。亡くなった2人は1階に倒れていました。

捜査関係者によりますと、2階からも犯人のものとみられる複数の土足の跡が見つかっています。警察は犯人が複数犯と偽装するために意図的に土足の痕を付けたとみて、捜査していました。

現場周辺では「不審な黒い車を見た」という目撃情報が警察に寄せられていて、警察も事件当時、佐藤被告が黒い乗用車で現場付近を走行していたことを確認しているということです。捜査関係者によりますと、佐藤被告は事件のあと、自ら警察に連絡をし「現場付近には行ったが、家の中には入ってない」などと話していたということです。

警察は事件発生から1年8カ月が経って、逮捕に踏み切りました。決め手となったのは、佐藤被告の車から被害者のDNAが検出されたことや、カーナビを解析した結果や、移動記録などから、犯行前に現場付近を走行したり、停車したりを繰り返していたことが確認されたことなどです。

佐藤翔一被告は20日から大分地裁で始まった裁判員裁判で、「全て僕はやっていません、僕は犯人ではありません」などとして起訴内容を否認し、無罪を主張しています。

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