高い建物を“長く大きく”揺らす「長周期地震動」 南海トラフで想定される影響は? 専門家に聞く

2023年02月10日 11:00更新

大地震が予測される時に発表される「緊急地震速報」が、2月から変わりました。

 

これまでは最大震度5弱以上と推定された地震の際、震度4以上が予想されるエリアが発表されていました。

 

 

そこに2月から、「長周期地震動」という新たな情報が加わることになりました。

 

文字通り「長い」「周期」の揺れのことで、特にマンションなど高い建物にいる人に関係する情報です。

 

 

専門家に聞きました。

 

高い建物を大きく揺らす「長周期地震動」

 

長周期地震動は、大きな地震で生じるゆっくりとした周期の長い揺れのことです。

 

震源から遠く離れた地点まで伝わり、高層ビルなどを大きく長く揺らす特徴があります。

 

 

ーー地震の揺れについて研究している、広島大学の三浦准教授に聞きました。

 

 

こちらは、長周期地震動を視覚的にとらえるための模型です。

 

地面に見立てた板の上に、重心が異なる金属の板が取り付けられています。

 

左側が高層マンション。右側は低い建物というイメージです。

 

 

 

比較的、規模の小さい地震の場合、地面は小刻みに揺れます。

 

低い建物は大きく揺れますが、高い建物の振れ幅はそれほど大きくありません。

 

 

 

しかし、大きくゆっくり揺れる長周期地震動が発生すると…。

 

 

 

ーー広島大学 三浦弘之 准教授

 

「地面がゆっくり揺れるということになるので、こういう風に揺れることになります。そうすると、高層の建物の方の揺れやすい周期に一致して共振という状態になる。高層の建物が大きく揺れるということになります」

 

 

気象庁によると、14階建て以上の建物は長周期地震動の影響を受けやすいということです。

 

 

2011年の東日本大震災では、震源の宮城県沖からおよそ700キロ離れた大阪でも高層ビルが大きく揺れたということです。

 

南海トラフでは「階級3・4」の揺れ予想

 

マグニチュードが大きな地震ほど長周期地震動が発生しやすいため、マグニチュード9クラスが想定される南海トラフ巨大地震では、広い範囲で長周期地震動の影響が及ぶおそれがあります。

 

 

長周期地震動の揺れは、通常の震度とは別の4段階の階級で示されます。

 

2月から緊急地震速報の対象となっているのは、階級3と4が予測される地域です。

 

 

階級3は「立っていることが困難」な揺れ。

 

4は「床をはわないと動くことが出来ず、固定していない家具の大半が移動したり倒れたりする」という揺れです。

 

 

 

南海トラフ巨大地震では広い範囲で階級3から4の揺れが起こると想定されています。

 

 

高い建物にいる人は棚など倒れる恐れのあるものを固定しておくなど、日頃からの備えが大切です。

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