別府の小さな会社が開発 温泉の温度「一括管理」味噌作りに欠かせない麹の温度管理にも 人手不足解消へ

2025年06月25日 18:40更新

大分県別府市の会社が開発した、温泉の温度を一括管理出来るシステムを紹介します。

 

 

多くの業種で人手不足や働き方改革が叫ばれる中、このシステムが旅館のほか、ある意外な場所でも救世主となっています。

 

 

取材しました。

 

 

 

別府市にある旅館です。

 

 

14室ある客室はすべて離れとなっていて、宿泊客はそれぞれの部屋で、かけ流しの別府温泉を楽しめます。

 

 

客に快適に過ごしてもらうため欠かせないのが温泉の温度管理です。

 

 

◆ととのいの宿 春燈庵深井亜紀さん

 

「客が来た時に、少しでもちょうどいい温度ですぐ入ってもらえるように気持ち良く入浴してもらえるよ う(温泉を)管理している」

 

 

こちらの旅館のグループでは1つの源泉からそれぞれの客室に温泉をひいています。

 

 

取材した旅館ではその温度はだいたい50度前後で高めとなっています。

 

旅館ではこれまで、客がチェックインする時間にあわせて従業員が1つ1つ温泉をまわって温度を測っていました。熱過ぎれば温泉を止め、外の空気を入れるなどして温度を調整していましたが時間と手間がかかっていたということです。

 

 

温度管理を効率化するために新たに温泉に設置されたのがこのセンサー。

 

 

こちらの旅館では16ある湯船に設置されたセンサーで温度を測りパソコンで一括して管理することが出来ます

 

 

温度が高すぎる時は「赤色」で表示、

 

 

低すぎる場合は「青色」、

 

 

適温は「緑色」で表示され、

 

 

一目で温度の確認が可能になりました。

 

 

◆ととのいの宿春燈庵深井亜紀さん

 

「一度一度部屋に行って(温泉の)温度を確認してという手間が無くなった」

 

 

 

 

 

このシステムを開発したのが、市内にある従業員わずか10人の会社サークル・ワンです。

 

 

大手企業が開発した同様のシステムは高額ですがサークル・ワンのものは湯舟1つで設置費用は3万円、利用料も月1000円以下と格安です。開発のきっかけは…

 

 

◆サークル・ワン一丸敏雄社長

 

「最初はホテルがどうだということではなく、自分のところの風呂の温度を見るために(開発 )したが、これがホテルや旅館で必要ではないかと思った」

 

 

多くの人が訪れる県内の観光地ですが人手不足が課題となっている宿泊施設も多いようです。

 

 

帝国データバンクが全国の旅館やホテルを対象に実施した調査によりますと、2025年1月時点で、5割以上が人手が不足していると回答しています。

 

 

◆サークル・ワン 一丸敏雄社長

 

「人が足りない時に、温泉の温度が大丈夫かというのを常に見に行っていた。そこがとても大変という中でスマートフォンで誰でもが見られるようにしておけば」

 

 

現在、別府と湯布院の6つの旅館やホテルのほか、県外でも導入されているというこのシステム。ある意外な場所でも役に立っているんです。

 

 

 

 

◆阿部三郎商店 阿部直喜さん

 

「各部屋の(温泉の)温度を一括で管理できるシステムがあるという話を聞いて、味噌屋でも麹を造るのに使えるのではないかと」

 

 

 

日出町にある「阿部三郎商店」。

 

 

味噌やもろみなどを昔ながらの方法で製造、販売しています。

 

 

こうした発酵食品を造るのに欠かせないのが麹です。

 

 

◆阿部三郎商店 阿部直喜さん

 

「麹を造るために絶対に必要なのが湿度と温度管理」

 

 

 

こちらは木箱に入れた麹菌を繁殖させるための部屋。いい麹を作るためには、35度から37度程度の温度と80%以上の湿度を保つ必要があると言います。システムを導入したことで、この温度や湿度をスマートフォンなどでいつでも、どこにいても確認することが出来るようになりました。

 

 

◆阿部三郎商店 阿部直喜さん

 

「今までは1時間ないし2時間おきに夜中でも起きてひとつひとつ見ていたものがサークル・ワンの機械のセンサ ーのおかげで一括管理ができて 手間が減って作業しやすくなった」

 

 

別府市の小さな会社のアイディアがさまざまな業界の人手不足の解消や業務効率化に繋がっています。

 

 

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