早くも「年末年始商戦」食卓を彩るクリスマスケーキやおせち トレンドや物価高騰の影響は 大分
暗闇に浮かび上がる作業着姿の人達。声を張り上げながら拳を空に突き上げています。
ミュージカルのワンシーンのようなこちらの動画は大分市の三信産業が今年5月にYouTubeで公開したものです。
皆さんが歌っている場所。実は劇場ではなく建設現場の「足場」なんです。そのユニークな撮影場所は歌詞にも反映されていて「足場なくば何も生まれず。足場なくば頂きに立てず」と歌い上げます。
ーー三信産業・大野真人社長
「足場は今回の撮影のためだけに組んだものです。通常の四角い建物と違い半円状に組むことでミュージカル劇場のような雰囲気を再現しました。素材も従来の枠を組むものではなく次世代足場と呼ばれる、より安全に作業できるものを使っていて半円が切れている部分にも細工をしています」
足場は3階建てで高さ5メートル・直径20メートル。組み立てから撮影に約1週間かけており、夜間のライトアップには東京から専門の職人を呼んで撮影したという力の入れようです。
そして社員など総勢85人が登場し、足場を舞台にミュージカルを繰り広げるという迫力ある2分間の動画が完成しました。
これだけ力を入れた動画制作の目的は最後に登場するメッセージに込められています。それが「求人募集中」。
そうです、今回の動画は求人募集の呼びかけのために作成されました。
ーー三信産業・大野真人社長
「建設業界には依然として3K4Kというイメージがあり今まで通りの採用だけでは人が集まりません。特に九州ではこれから熊本・長崎の新しい半導体の工場稼働や天神ビッグバンなど大型のプロジェクトが控えており人手不足がさらに進むおそれがあります。動画を通じて若者にものづくりに携わることの面白さややりがい、カッコ良さを少しでも知ってほしい」
力を入れた告知の背景にあるのは建設業界を取り巻く人手不足です。5月31日に大分労働局が発表した県内の建設の仕事に対する有効求人倍率は「3.8倍」と全体平均の1.31倍を大幅に上回っています。
こうした中、動画配信を通じて建設業を若者にPRしようという動きは他にも。
こちらは土木(ドボク)工事とエクササイズをかけあわせたその名も「レッツ!ドボクサイズ」。県内で土木工事をてがける川邊組が制作した動画です。
「きつい」という建設業のイメージに対して、むしろ肉体労働によって仕事をしながら体を鍛えることができるというプラスの面としてPRしています。耳に残るリズミカルな歌とダンスが評判を呼び、YouTubeでの動画の再生回数は22万回を超えています。
また、若手労働者の獲得に向けて業界をあげた取り組みも進んでいます。その1つが大分商工会議所建設部会が今年3月に行った「働き方改革宣言」です。建設業界全体に週休2日を浸透させようと、4週間のうち6日間は現場を完全に休みにすることなどを目標としています。
建設業界ではこの他にもIT化による作業負担軽減や外国人労働者の雇い入れなどが進められていますが、人手不足は依然として深刻な課題です。業界をあげたイメージアップや働く環境の改善に、関係者の挑戦が続きます。