「くじらびと」ドキュメンタリー映画にかけた思い

2021年09月22日 19:00更新

クジラを銛1本で捕らえるインドネシアの村の漁の様子。大分県出身の映画監督石川梵さんが撮影したドキュメンタリー映画の一場面だ。
あの山田洋次監督も圧倒されたというこの作品、石川監督の思いを伺った。

『私たちは鯨を殺すが鯨に感謝している。私たちは鯨とともに生きているんだ』

インドネシアのラマレラ村を舞台にした映画「くじらびと」。

人口は1500人、村人の生活を支えるのが銛1本でマッコウクジラに挑む伝統のクジラ漁。
クジラに体当たりされ海に投げ出される命の危険もある中、生きるために、村人たちは壮絶な漁に向かっていく。

ーー石川梵監督
「人間と自然との共生をテーマに撮っていたが旅先で銛一本でクジラをつく人たちがいると聞いて、どんどん取材していくにつれてこれは単純にクジラを撮るだけのシンプルなストーリーではなくもっと深いものがたくさんあるだろうと」

今回の作品が映画2作目となる県出身の石川梵監督。
もとは写真家として活動していて東日本大震災の被災地など「祈り」をテーマに撮影してきた。

今回の映画は2017年に撮影を始め水中カメラやドローンを駆使して海の中のクジラの様子や美しい海に囲まれた村を描き出している。

大分市の映画館では9月18日から上映が始まり、石川監督が舞台挨拶に登場。「今回も撮影、苦労してクジラがなかなか出なかった。結局出たのが最終日の前の日3年目の最終日、延長して帰る前の日に出た」などと撮影の裏話も披露した。

ーー観客は
「すごく映像もきれいで迫力もあってとても考えさせられることもあっていい映画だと思った」

「僕たちは命をいただいて生きているんだなと考えさせられた」

ーー石川梵監督 
「(ラマレラ村の)古老が僕に『梵、お前は動画や写真をいっぱい撮っている、本も出している。昔の俺たちの姿を今の若いやつらに教えてほしい。村が1つになっていたあの時代のことを教えてほしい』と言われて、彼らのアイデンティティである貴重なクジラ漁を映像記録として残したいと思った」

映画「くじらびと」は大分市のシネマ5bisで10月1日まで、別府市の別府ブルーバード劇場では10月22日から上映される。

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