サファリでお馴染み〝ジャングルバス〟には元職員のこだわりが

2021年11月08日 10:00更新
宇佐市のアフリカンサファリについて。
園で人気のジャングルバスを作った元職員の男性を取材した。
 

きっかけは“トーテムポール”

 

およそ70種類の動物たちが暮らす「九州自然動物公園アフリカンサファリ」。
ここで動物たちを間近で観察できるのがジャングルバス。
 
「かくさん」と呼ばれるこの男性こそ、数々のジャングルバスを作り、ことし1月に退職した石田覚蔵さん71歳だ。
 
 
サファリが開園した1976年に園内バスの運転手として入社。
 
その数年後、手先が器用だった石田さんは松の木でトーテムポールを作った。
これが、当時の園長に認められ、園の入り口に看板の代わりになるものを作ってほしいと頼まれた。
 
そこで、石田さんが作ったのが…
 
 
高さ6mもあるお馴染みのアフリカゾウのモニュメント。
石田さんの設計図を基に職員と共にコンクリートを使って作り上げた。
完成からおよそ40年経った今もインパクトは抜群!
 
来園者を出迎えている。
 

ジャングルバスに試行錯誤

 

モニュメントを完成させた石田さんに舞い込んだ次なる依頼。それが、ジャングルバスだった。
 
檻のついたバスに強化プラスチックで作ったゾウの顔などのパーツを繋ぎ合わせていった。
 
強化プラスチックを適した固さにするための薬の分量が分からず、試行錯誤の日々だったそうだ。
 
 
ーー石田さん
「最初はできるかできんか分からないということで、その時にできたもの。やっぱり非常に苦労のしがいがあった」
 
その後、ゾウ以外にもトラやライオンなど様々な動物をデザインしたバスを手がけている。
退職までに作ったバスは22台。
 
それぞれに石田さんのこだわりが詰まっている。
 
 
こどもの視点に合わせるとキバには相当な威圧感があると考え、ライオンにもキバはつけなかった。
 
また、バス以外にも動物の形をしたトピアリー。
さらに建物の上部の岩山も手がけた石田さんにはいつしか「アート担当」という肩書がついた。
 
今は、後任の職員が新しいジャングルバスを作成中で想いはしっかりと引き継がれている。
 
退職しておよそ9か月。
石田さんは、現在も家の近くの工房で鏝絵などの創作活動に取り組んでいる。 
 
 
そんな石田さんにとって“物作り”とは…
 
 
――石田さん
「墓石に名前を刻まれるようなものでうちの爺さん、うちのひい爺さんがこれ作ったものですよというものが残れば、自分の存在が継承されるっていう意味だからね」
 
多くの人に親しまれるバスを手がけてきた石田さん。これまでも、これからも物作りへの挑戦は続く。
 
【2021年10月取材】
 

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