日本有数の温泉地・別府「共同温泉」の運営に課題 管理者の高齢化や清掃員の担い手不足 大分

2025年05月26日 16:20更新

地域の住民に親しまれている大分県別府市の共同温泉が、今、住民の高齢化などで運営が難しくなっています。現状を取材しました。

 

 

 

別府市には共同温泉が約80か所

 

別府市若草町にある若草温泉。63年間地域で親しまれてきた共同温泉で源泉かけ流しの湯が魅力です。

 

 

利用客の7割は近所の住民で、地域の憩いの場としても愛されています。

 

 

こうした共同温泉は地域の自治会や温泉組合が管理・運営していて、別府市によると2025年4月時点でおよそ80か所あるそうです。

 

 

ここ若草温泉でも入浴料の回収や建物の管理などを若草町の住民が担っています。その中でも特に苦労していたのが…

 

 

◆若草町自治会役員 菅 隆良さん

 

「清掃を担う人の確保が非常に苦慮」

 

 

 

 

 

高齢化などで年々利用客は減少

 

若草温泉では2024年7月に委託していた清掃業者が廃業。急遽、新たな業者を探すことなりましたがこれまでの委託料の5倍から6倍ほどの費用が必要なところがほとんどで担い手を探すのに苦労したそうです。

 

 

最終的には2倍の金額で引き受けてくれる業者をなんとか確保しましたが…

 

 

◆若草町自治会役員 菅 隆良さん

 

「(年間の)清掃費は150万円。日々の入浴券の収支に対しては非常に負担になってきた」

 

 

若草温泉は自治会のメンバーに販売している1か月1000円の入浴券と1回100円としている一般の人の入浴料の収入で成り立っていますが組合員の高齢化などで年々利用客が減ってきていると言います。

 

 

 

 

 

管理者の高齢化や人手不足などの問題を背景に、閉鎖や休業する共同温泉も

 

別府市が2024年5月に共同温泉の管理者を対象に実施したアンケートでは、「困りごと」として最も多かった回答が「管理者の高齢化」で76%、「清掃員の担い手不足」は40%でした。

 

 

しかし、「運営にかかる費用で最も大きな支出」では ほぼ半数が清掃費と答えるなど施設にとって、清掃費が大きな運営の負担となっています。

 

 

こうした管理者の高齢化や人手不足などの問題を背景に、ここ数年では、閉鎖や休業となる共同温泉も出てきています。

 

 

 

危機感を募らせる別府市ではアンケート結果をもとに2024年9月に温泉管理者の意見交換会を実施。

 

 

複数の施設で一括して清掃業者に委託することで費用を抑える方法を検討してもらうなど施設間での交流を支援しています。

 

 

◆別府市 観光・産業部 温泉課 峯崎 福太郎主任

 

「それぞれの温泉組合が管理しているが近隣の施設同士で協力することで経費の削減や入浴者の確保にもつながる」

 

 

このほか、市では入浴者数の増加につなげようと立ち寄り入浴が可能な共同温泉をまとめたマップもホームページで公開しています。

 

 

◆別府市 観光・産業部 温泉課 峯崎 福太郎主任

 

「別府の共同温泉文化を将来100年先も守っていきたい。寄り添った形で協力しながら存続できれば」

 

 

 

 

 

 

別府八湯温泉道名人会「改めて共同温泉の魅力を知ってもらえるよう発信を」

 

温泉地別府の歴史や文化の象徴でもある共同温泉。この共同温泉はいわゆる「ジモ泉」としても知られ、その地域住民のみが入ることができるというイメージがある方も多いかもしれませんが現在運営されている共同温泉82施設のうち48施設は立ち寄り入浴できるということなんです。

 

 

別府の温泉の魅力をPRしている別府八湯温泉道名人会の花田潤也理事長は「別府ならではの文化を守るためにも、改めて若者や県外の人などにも共同温泉の魅力を知ってもらえるよう発信を行っていきたい」と話しています。

 

 

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