新たな被害想定「南海トラフ地震」専門家に聞く「発生から10分以内の避難開始が重要」大分

2025年04月01日 19:20更新

南海トラフ巨大地震についてです。被害想定などがおよそ10年ぶりに見直され、3月31日公表されました。

 

 

大分県内を見てみますと、最大震度は震度6強で佐伯市、津久見市、臼杵市、大分市、九重町が想定されています。

 

 

また津波の高さは県内で最大となるのが佐伯市で14m、次いで、津久見市と大分市が9mなどと想定されています。

 

 

こうした新たな想定ですが、防災につなげていくポイントを取材しました。

 

 

 

◆大分大学 鶴成悦久教授

 

「もともと平成26年3月に南海トラフ地震の基本計画が出て、その中で当初(犠牲者が)33万2000人という数字から8割減を目指す減災対策が進められた。今回はその目標値の8割減には至らなかったことがひとつ大きなポイント。ハード対策の中で津波避難タワーあるいは護岸の整備などで強靭化対策もされてきた中でも、それだけでは足りなかった」

 

 

こう指摘するのは災害に関する研究を行っている大分大学の鶴成教授です。

 

 

3月31日、国が公表した新たな想定では最悪の場合、全国の死者数は29万8000人に上るとされていて、前回の想定から1割ほどの減少にとどまりました。

 

 

県内での死者数は前回の想定よりもおよそ1000人増え、最大でおよそ1万8000人が亡くなると試算。津波による死者は1万7000人あまりと大半に上っています。

 

 

 

 

 

1人でも多くの命が助かるには―鶴成教授は地震発生から「10分以内」に避難を始めることが重要だと話します。

 

 

今回の想定では地震発生後10分で全員が避難を始めた場合、最悪のケースと同様の状況でも津波の犠牲者はおよそ100人となり、大幅に減らせるとしています。

 

 

◆鶴成教授

 

「ひとりひとりが何ができるか、今以上に命を守ることのこれからの対策につなげていってほしい」

 

 

県内で最大となる14mの津波が押し寄せると想定されているのが佐伯市です。

 

 

◆渡辺一平記者

 

「佐伯市内のこちらのホテルは津波避難ビルに指定されていて、 津波警報などが発表された際は 一時避難の場所として利用することが出来ます」

 

 

「津波避難ビル」も対策の1つ。

 

 

こちらの宿泊施設では7階建ての建物の4階以上を開放する計画です。

 

 

こちらを含め、市内では44か所が「津波避難ビル」に指定されています。ただ、運用面の課題が2025年1月に宮崎県で起きました。

 

 

日向灘を震源とする地震で津波注意報が出たにも関わらず、津波避難ビルに指定されている延岡市内の施設が避難者の受け入れを拒否したのです。

 

 

 

 

 

同様のことが起きないよう、佐伯市は市内全ての津波避難ビルに対し、災害時には避難者を可能な限り受け入れるよう通知を出しました。

 

 

◆ホテル金水苑佐藤 認 総支配人

 

「(受け入れを断ること)は私どもは絶対にありえません。自宅にいるよりどこにいるのが安全だと、日頃から自分たちの避難をどうしようかということを考えて暮らしてほしい」

 

 

およそ10年ぶりに見直された南海トラフ地震の被害想定。

 

 

多くの犠牲者を出さないためにも1人1人が改めて防災意識を高めることが重要です。

 

 

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