「大きな将来の糧になる」JICA海外協力隊の魅力 3000キロ離れたパラオで活動する人々の思い 大分

2025年03月11日 11:00更新

開発途上国の支援を目的に、各国に人材を無償で派遣する「国際協力機構・JICA」の海外協力隊は、2025年で60年となります。

 

これまでに延べ99か国におよそ5万7000人。大分からも600人以上が協力隊に参加してきたということですが、隊員の人たちは一体どんな思いで海を渡ったのか…。

 

 

今回、TOSはJICAの協力を得て、日本から3000キロ離れたパラオで活動する人々を取材しました。

 

 

 

 

 

60年で延べ5万7000人が協力隊に参加

 

この活動は、開発途上国の支援を目的にJICAが各国のニーズに対応できる技術や知識を持った人材を現地に無償で派遣するもので派遣期間は最長で2年間となっています。協力隊として活動する人の渡航費や現地での生活費などは日本側が負担します。

 

 

事業が始まって2025年でちょうど60年になりますが、これまでに延べ99か国におよそ5万7000人。大分からも600人以上が協力隊に参加してきたということです。

 

 

 

 

 

日本から南に約3000キロ離れたパラオで活動する人々を取材

 

1965年に「日本青年海外協力隊」の名称でスタートしたこの事業。隊員たちは、農林水産や化学、教育やスポーツなど幅広い分野で開発途上国の人々の暮らしを支援してきました。

 

 

今回、TOSが向かった先は日本から南におよそ3000キロ離れたパラオ。美しい海に囲まれた日本人にも人気の観光地です。

 

遠く離れたこの国で、協力隊員はどんな思いで活動をしているのでしょうか。

 

 

 

 

 

途上国での仕事にやりがいを覚え移住した人も

 

◆TOS児玉直輝記者

 

「太平洋の島国パラオにやってきた。ここに大分から仕事をしに来ている人がいるということで、直接その理由を聞いていきたい」

 

 

パラオで活動しているのは、小学校から高校卒業までをに中津市で過ごした川崎則彦さんです。

 

 

川崎さんの職場は、パラオの公共インフラ産業省。日本で言うと総務省や国土交通省の役割を果たす省庁で、 データ管理の仕事をしています。

 

 

パラオの前にもケニアなどで2度、協力隊の活動に参加した川崎さん。その魅力は、現地の文化を深く知ることができる点にあるといいます。

 

 

◆JICA海外協力隊 川崎則彦さん

 

「日本の常識は世界では非常識って言われたりするけどやはり考え方や価値観が違う。実際に住むと、『これがこの国の価値観だ、文化だ』みたいな形でいろんな面が吸収できるので、常に新鮮なものを入手できることは海外に住むいいことだと思う」

 

 

また、途上国での仕事にやりがいを覚え移住した人も。JICAのパラオ事務所で働いている、大分市出身の伊藤藍子さんは、パラオの滞在歴は通算でおよそ20年で、移住のきっかけは小学校の教師として協力隊に参加したことでした。

 

 

2年間の活動の中で、日本の教育をパラオの子どもたちや教師に伝えました。

 

 

◆JICAパラオ事務所 伊藤藍子さん

 

「(教え子の)3年生が高学年の子と掛け算大会をすると、3年生が勝つんですよ。(日本の教育で)生活が向上したり、その人の人生や将来が広がることがあるので、パラオの人たちだけではなく海外の人もそうだが、お互いに得るものはたくさんある」

 

 

 

 

 

JICA海外協力隊が掲げる3つの目的の中には、「異文化の相互理解」や「ボランティア経験の社会還元」というものがあります。

 

 

途上国のためだけではなく、隊員たちも新しい知識や価値観を得て、成長できることが、この事業の魅力なのかもしれません。

 

 

◆JICA 青野智之さん(海外協力隊事業担当)

 

「現地の人のために一生懸命汗を流す、それだけではなくて自分自身の人生の中でも大きな将来の糧になるような経験ができる素晴らしい制度だと思うので、ぜひ挑戦してほしい」

 

 

興味はあっても、言葉の壁や生活習慣の違いなどに不安に感じて応募に躊躇してしまうという人もいると思います。

 

 

そこでJICAでは派遣前訓練として現地の言語やその国の文化などについて学べるおよそ70日間の合宿を実施しています。

 

 

協力隊の募集は春と秋の2回あり春の募集については3月21日からとなっています。

 

 

協力隊になるためには必ずしも特別な経験や技術が必要というわけではないということですので、興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

 

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