主食用の米を牛のエサに…雨不足で農家が苦渋の決断「すぐにでも雨が欲しい」大分

2025年09月16日 11:20更新

もうすぐ新米の収穫時期を迎えるコメの話題です。

 

 

10日は大分県内で雨が降りましたが、この夏の雨不足によって、苦渋の決断をした農家が県内にいます。取材しました。

 

 

 

◆TOS田邉智彦アナウンサー

 

「こちらは国東市の田んぼです。 稲穂が色付き始め、あと3週間ほどで収穫が始まります」

 

 

国東市国東町でコメの栽培を行う伊賀修さんです。

 

 

伊賀さんは1200アールの田んぼで4つの品種のコメを栽培しています。

 

田んぼを見せてもらうと…。

 

 

◆みずほファーム 伊賀修代表

 

(Q生育は順調?)

 

「いえもうこれかなり水不足で。ご覧の通り主食米としては収穫は厳しいと思っている」

 

 

県内では観測史上最も早く梅雨が明け、猛暑が続いたことで北部を中心にまとまった雨が降らず記録的な水不足に。

 

 

これが伊賀さんの田んぼの稲にも深刻なダメージを与えていました。

 

 

 

 

 

順調に生育していれば1株から20本ほどの茎が出ますが、2025年は水が足りず茎の本数が半分ほどしか無いものが増えているそうです。

 

 

また、穂の一部が茶色く変色しているものや葉が黄色くなり、枯れかけているものも。

 

 

「このままでは枯れて廃棄することになる」と伊賀さんは苦渋の決断を迫られました。悩んだ末、栽培していたなつほのかのおよそ6割を牛のエサ用として刈り取ることに。

 

 

◆みずほファーム 伊賀修代表

 

「非常に難しい判断だったが若干収穫量が落ちる程度だったらそのまま主食用でもよかったが、品質が自信をもって消費者に提供できないと思った」

 

 

主食用のコメとして収穫できれば10アール当たりおよそ20万円の収入を見込んでいました。

 

 

しかし、飼料用では同じ面積でも8万円にしかならず、収入にも大きく影響します。

 

 

田植えの時期が1週間ほど早かった残り4割のなつほのかはいまのところはなんとか順調に育っていると言います。

 

 

生育に多くの水が必要となる収穫前のこの時期ですが、伊賀さんの田んぼに水を供給するため池の水不足は深刻です。

 

 

◆北江ため池組合坂本隆之組合長

 

「いくらか(水が)出てますから ゼロではないが(貯水率)1%くらい。穂が膨らむための水がいる時期なので本当はいま水がないと困る」

 

 

ため池の水はわずかしかなく、周辺の田んぼまで水を届けられない状態が続いていて伊賀さんたちは頭を悩ませています。

 

◆みずほファーム 伊賀修代表

 

「農家としてはもう本当にすぐにでも雨が欲しい」

 

 

 

 

 

農林水産省が8月末に発表した10アール当たりのコメの収穫量の見通しでは県内は前年並みとされています。

 

 

ただ、8日時点で、県内にある23の農業用ダムのすべてで貯水率が平年の同じ時期を下回っていてこの夏、雨が少なかった地域では農業への影響が心配されます。

 

 

間もなく迎える新米の時期。2025年も美味しい米が食卓に届くことを願うばかりです。

 

 

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