九州で新幹線がない県は大分と宮崎だけ 計画から半世紀以上…「東九州新幹線」の現状と課題は

2025年01月19日 07:00更新

東九州新幹線は2つのルートを検討

 

九州で新幹線がない県は大分と宮崎だけというのをご存じでしょうか。2022年に佐賀の武雄温泉駅から長崎駅の間で西九州新幹線が開業したため九州で新幹線がない県は大分と宮崎だけになってしまいました。期待が高まる「東九州新幹線」の現状について取材しました。

 

 

 

改めて東九州新幹線の検討されているルートについてです。県が示しているのは、大分から小倉を経由して博多までを結ぶ「日豊本線ルート」。そして、由布市や日田市を通って新鳥栖から博多に向かう「久大本線ルート」の2つです。

 

 

日豊本線ルートは大分から小倉まで所要時間が31分、費用は総額で8195億円と試算されています。一方、久大本線ルートでは大分から新鳥栖まで32分、費用は8339億円となっていてこちらの方が少し費用は高くなっています。

 

 

 

 

 

久大本線ルートが通る日田市民は「わくわくしている」

 

こうした東九州新幹線の実現に向けて、県内では2024年もいろいろな動きがありました。

 

 

東九州新幹線の早期実現のために重要となるのが地元の機運醸成。そのための取り組みは2024年も県内各地で行われました。

 

 

2つのルートの1つ、久大本線ルートが通る日田市では県が住民向けの説明会を開催。市民などおよそ60人が集まり、参加者からは新幹線開通に期待する声が聞かれました。

 

 

◆参加者

 

「まかり間違えば日田が(新幹線の)駅になるかもしれない」

 

 

「今まで考えていなかったので久大線ルート。わくわくしている」

 

 

また7月には県内の自治体や経済界で作る期成会が総会を開き、佐藤知事も出席しました。総会では今後も国への働きかけを行っていくことなどを確認しています。

 

 

佐藤知事も実現に意欲を燃やし力を入れている東九州新幹線。2025年最初の定例会見でも改めて意気込みを示しました。

 

 

◆佐藤知事

 

「広域交通ネットワークは、なかなか目に見えて新しく、例えば東九州新幹線や豊予海峡ルートは具体的にできるようになりましたというところまでなかなかいかないが、引き続き果敢にチャレンジしていくということではないかと思います」

 

 

 

 

 

計画から半世紀以上、進展がない

 

また、宮崎でも大分と同じように新幹線に関する議論は進んでいます。

 

 

宮崎県では、大分を通る「日豊本線ルート」は同じなんですが、鹿児島までの「鹿児島中央先行ルート」、熊本までの「新八代ルート」と大分県が示していたものとは違うルートで費用や所要時間を試算する調査が行われました。

 

 

そして、新幹線の工事が始まるまでの手順についてです。まず、新幹線の建設計画が基本計画に決定されその後、整備計画に格上げされる必要があります。そして、工事実施計画の認可が降りて初めて着工できるということです。

 

 

この過程の中で、東九州新幹線が今、どの位置にいるかというと、まだこの基本計画の段階です。しかも基本計画路線になったのは1973年のことで、計画から半世紀以上、進展がないのが現状です。

 

 

東九州新幹線も含めて、現在、全国で11の路線が基本計画の段階にあり、整備計画への格上げに向けてそれぞれの自治体でいろいろと機運を高める活動をしているという状況です。

 

 

2025年も各地で進む早期実現に向けた取り組み…新幹線開通に向けては機運を高める取り組みを続けていくことが重要です。

 

 

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