「マイナ保険証」本格運用 メリットは? 従来の健康保険証は最長1年間は利用可能 大分
大分県大分市と大分空港のアクセス向上に向けて、運航の準備が進められてきたホーバークラフト。就航はこれまで「2024年秋」としていましたが、11月30日にまずは「別府湾周遊」のコースで運航を始めることになりました。空港を結ぶ定期便は年末までの就航を目指しています。
これまでの経緯をまとめました。
かつてのホーバークラフトは2009年廃止 11年後に復活の方針決定
以前のホーバークラフトは大分空港と大分市の西新地の間で、1971年に運航が始まりました。
ピーク時には1990年には約44万人が利用しましたが、利用客は次第に減少。高速道路が整備され、車での空港へのアクセスが向上して以降、さらに低迷しました。
売り上げも落ち込み、2009年、当時の運航会社の大分ホーバーフェリーは大分地方裁判所に民事再生手続きを申し立てました。結局立て直しには至らず、ホーバーは38年の歴史に幕を閉じました。
ホーバークラフトに復活の兆しが見えたのは、廃止から9年後の2018年です。
◆当時の大分県知事 広瀬勝貞氏
「空港から県都まで来るのに1時間かかるというのを何とかしたい」
ホーバーの廃止後、大分空港と大分市中心部の間での移動時間が課題となっていました。
大分市と空港の間には特急バスが走っていますが、ホーバーでの所要時間は約30分だったのに対し、特急バスは約1時間。ビジネス客を中心にアクセス向上を求める声が上がっていました。
こうした状況を受け、県は交通事業者や自治体関係者などで作る研究会を立ち上げ、海上ルートが実現できるかの検討を開始。
高速船とホーバークラフトの2案で検討した結果、2020年に所要時間が短く既存施設を利用できるといった利点があるホーバー案が採用されました。
2023年に船体到着 予定より2か月遅れの納品
復活案の採用から約3年後の2023年8月、イギリスで製造されていたホーバークラフトの1番船「Baien(バイエン)」が大分に到着。そして、9月に納入されました。
ただ、製造過程で船体の一部の部品が破損するトラブルがあり、納入は予定より約2か月遅れとなりました。
操縦訓練は度重なる事故のアクシデントも
ホーバークラフトの運航は大分第一ホーバードライブが担います。
操縦訓練は2023年11月に始まりましたが、訓練初日に空港側の発着場で1番船「Baien(バイエン)」がガードレールに衝突し、船体が損傷する事故が起きました。
けが人はいませんでしたが、訓練は中止に。
結局、1番船「Baien」の修理は2024年8月末までかかりました。
相次ぐ事故を受け対策 クッション材を設置
2024年2月、大分第一ホーバードライブは2番船「Banri(バンリ)」を使って、操縦訓練は再開しましたが、大分空港側の発着場で3月と4月に再び事故を起こしました。
さらに、7月にも大分市側の発着場で船体がスロープに接触する事故が発生。
大分第一ホーバードライブの小田典史社長は「県民の財産であるホーバークラフトを破損させてしまい、誠に申し訳ない」と会見で謝罪しました。
現在は大分空港側と大分市側の両方の発着場に衝突に備えるクッション材を設置するなどの安全対策がとられています。
こうした中、国は2024年11月15日にホーバーの運航許可を出しました。その後の安全確認検査に合格したことを受けて、大分第一ホーバードライブは、別府湾を周遊するコースでの運航を30日午後1時出発の便から開始することを決めました。
このコースでの運航はひとまず土日のみの1日4便で行うということです。
大分市と空港を結ぶ定期便については、改めて行われる国の安全確認検査に合格した後に運航を始める予定で、大分第一ホーバードライブは年末までに就航させることを目指しています。
運航が始まれば、日本で唯一となるホーバークラフト。
順調にいけば、空港アクセスとしての運航も15年ぶりに復活する予定です。