減少する“海の森” 豊かな海の象徴を守る漁師たち「自分らで守るんだという意識をみんなで持った」大分
寒くなってきたこの時期に体の芯から温めてくれるのが温泉ですよね。
大分県大分市の中心部で愛されてきた小さな温泉が12月、68年の歴史に幕を下ろそうとしています。
JR大分駅の北口から歩いてすぐの場所にあるあたみ温泉です。
1956年に銭湯として開業。その後およそ20年後には源泉かけ流しの温泉としてリニューアル。多くの地元客や観光客の疲れを癒してきた老舗です。
昔ながらのマッサージチェアや、味わいのある木製のロッカー。
そこかしこに「昭和」を感じさせるレトロな佇まいに魅かれて東京などから通うファンもいるそうです。
◆客
(湯加減は?)
「最高」
「近くにこういった天然温泉がないから」
浴槽はあつめとややぬるめの2種類であつめは45度を超える日も。ややぬるめでも42度ほどと温度が高く、美肌効果の高い褐色を帯びたモール泉が芯まで体を温めてくれます。
そんなあたみ温泉の入り口に年内での閉店を知らせる張り紙が。貼られたのは11月のことでした。
原因は施設の老朽化や後継者の不在などだそうです。長年通ってきた常連客からは惜しむ声が聞かれました。
◆客
「もうかれこれ(通うようになって)10年近い」
「(閉店は)大変困ると思っている」
そんなあたみ温泉を長年1人で切り盛りしてきたのが店主の榎本末子さんです。
高齢のため、2024年1月からは、市内の施設で過ごしています。
◆あたみ温泉店主 榎本末子さん
「開店当時は私は嫁に来た」
「結構お客さん多かった」
かつては深夜まで営業し、閉店時間を過ぎても多くの客でにぎわいました。
◆あたみ温泉店主 榎本末子さん
「もう寝るのが2時、3時朝の、まあ大変だった」
また、温泉の名前にはこんなエピソードも。
◆あたみ温泉店主 榎本末子さん
「最初は漢字で静岡の熱海だった。でも私の代になって(本家に)少し申し訳ないと思ってひらがなにした」
しかし、そんな思い入れある温泉でしたが。
◆あたみ温泉店主 榎本末子さん
「みんなに本当に申し訳ないけどやめようと。もっと元気になればまだずっと死ぬまで頑張りたいと思っていたがそういうわけにはいかないから」
一方で、営業を続けてほしいと常連客などが中心となって存続を求める署名活動も始まっています。
1カ月ほどですでに600人以上の署名が集まっているそうです。
◆あたみ温泉店主 榎本末子さん
「申し訳ないなーと思っている。ありがたいのと申し訳なさ」
68年間、たくさんの人の心と身体を温めてきたあたみ温泉。
12月でその歴史に幕を閉じるかもしれませんが、常連客やファンの思いは最後まで熱いままのようです。
こうした「あたみ温泉」のような 一般公衆浴場いわゆる銭湯は、全国各地で年々減少しています。
国の調査によりますと、1997年には、全国でおよそ9500か所ありましたが、2024年3月の時点で2847か所まで減少しています。
県内でも1997年には、248か所ありましたが、2024年3月の時点で、126か所とほぼ半減しています。
減少の要因は、施設の老朽化や燃料費の高騰や利用客の減少などがあるということです。
地域の交流の場や日本の文化でもある銭湯。
おんせん県の地元としては今後ともその火が消えないように応援していきたいですね。