過去最高額「ふるさと納税」明暗はっきりする中、差別化の鍵は民間とのタッグ【大分】

2024年09月15日 18:00更新

ふるさと納税 競争激化する中、各自治体の取り組みは

 

今や納税者の6人に1人が利用しているという「ふるさと納税」。自分の好きな自治体に寄付することで受け取れる特産物などが人気となっています。

 

 

寄付額は5年連続で過去最高を更新していますが、大分県の寄付額は九州・沖縄地方で最下位となっています。県内の現状、そして県内の自治体では寄付額がトップになっている国東市の取り組みを取材しました。

 

 

 

「ふるさと納税の寄付額」5年連続で過去最高を更新

 

大分県と県内18市町村のふるさと納税の寄付額の推移は、ここ10年で大幅に増加しています。2023年度はおよそ114億3300万円と5年連続で過去最高を更新しています。

 

 

そして2023年度、県内の自治体で寄付額トップになったのが国東市。国東市への寄付額はおよそ20億5900万円と、2位の大分市に2倍近い差をつけて県内では9年連続トップとなっています。

 

 

 

 

 

返礼品の魅力を高めてきた国東市

 

◆国東市役所 観光・地域産業創造課財前彰課長

 

「(他の自治体では)いろんな事業者さんに納税の事務を委託したりとかしてるんですけど、うちは極力委託せずに基本的には市の直営でやっています」

 

 

長年、市が地元業者と一緒に商品開発に携わるなど返礼品の魅力を高めてきました。

 

 

◆国東市役所 観光・地域産業創造課財前彰課長

 

「市内の事業者さんと信頼関係ができている。それがいい返礼品を作ることに繋がったり、寄付がたくさん来る秘訣になっていると思う」

 

 

 

 

県内で寄付額トップの国東市 新たな返礼品づくりにも力を入れる

 

漁業が盛んな国東市ですが、カキなどの一次産品だけでなく、新たな返礼品づくりにも力を入れています。

 

 

その一つが、「やわらか湯たんぽ」。ウエットスーツに使われる特殊な素材でできています。最新型は最初から水が入っていて電子レンジで温めるだけです。また凍らせることでネッククーラーとしても活用できます。

 

 

さらに、地元のワカメやヒジキを使って作られたふりかけも。

 

 

◆国東市役所 観光・地域産業創造課財前彰課長

 

「(ワカメやヒジキは)子供さんたちが食べるようなイメージがなくて、それを何とか若い人たちにも食べてもらいたいということで、事業者さんと意見を交わしながらふりかけを作った。国東市の地域の魅力、特産品の魅力を全国に伝えていきたいと思う」

 

 

 

強力なライバルが多い中、魅力ある商品を

 

国東市以外の市町村も寄付額を増やそうとあの手この手で取り組んでいて、大分全体も5年連続で寄付額が伸びています。

 

 

しかし、2023年度の寄付額を九州・沖縄の8つの県全体で比べてみると大分県は最下位。

 

 

トップの福岡県の2割にもみたず2位の宮崎県には400億円以上差をつけられています。

 

 

もちろん、ふるさと納税の趣旨というのは自治体間で競争するというものではありませんが、地方自治体において貴重な財源になりつつあるなか取り込めていないのは今後の大きな課題です。

 

 

大分県の現状について県の担当者にも聞いたところ「大分の周辺の九州・沖縄地区に知名度のある商品を持った強力なライバルが多いこと」を挙げていました。

 

 

全国の寄付額の受け入れ上位を見てみると、トップは宮崎県都城市で、他にも9位に福岡県飯塚市など、20位までに九州・沖縄から5つの自治体が入っています。

 

 

県の担当者は「大分はPRが弱いのでそこを強化する必要がある。自治体ごとに力の入れ方が違うが、魅力ある商品を増やしていかないと、選んでもらえない」と話し発信力が課題だとしています。

 

 

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