「勝ち上がってもう一回ノックを」夢の甲子園 男子部員とともに目指した女子部員の最後の夏 大分

2024年07月10日 10:50更新

6日に開幕した全国高校野球選手権大分大会は、連日、熱戦が繰り広げられています。

 

こうした中、大分市の高校には特別な思いを胸に臨む一人の女子部員がいます。

 

 

彼女の最後の夏を取材しました。

 

 

男子部員に混ざって練習しているのは大分豊府高校野球部の3年生渕野詩選手です。

 

チームで唯一の女子部員の渕野選手は兄の影響で小学生から野球を始めました。

 

 

ポジションはピッチャー。小中学校時代はチームのエースでした。

 

 

 

 

県高校野球連盟によりますと、県内には4人の女子部員が選手登録しています。

 

しかし、女子部員は参加資格がなく公式戦には出られません。

 

そんな渕野選手のことをチームメイトはこう話します。

 

 

◆松本昊主将

 

「学校でも親しく接してくれたりとか野球のなかでもアドバイスをしてくれたりとかとても頼りになる存在」

 

 

特別扱いせずに同じ選手として接してくれたおかげで厳しい練習を乗り越えることができたと渕野選手は言います。

 

 

 

 

 

 

 

◆渕野詩選手

 

「もちろんみんなと一緒にベンチに入りたいしグラウンドに立ちたいという思いはあった。それを知った上で、覚悟のうえで高校でも男子と一緒に野球を続けるのは決めた。そこは応援する気持ちでいっぱい」

 

 

迎えた開会式。先導役という大役を務めました。

 

そして初戦。試合直前の守備練習のノックに自分の思いを込めます。

 

 

◆渕野詩選手

 

「勝ち上がって次の試合でもう一回私にノックさせてほしい」

 

 

 

 

大分豊府は初回に1点を先制し試合を優位に進めますが、対戦相手の高田も粘りを見せ延長戦に突入。

 

10回裏、1アウト満塁の場面で1点入ればサヨナラ負けのピンチを迎えます。

 

 

そして・・・

 

 

打ち取った当たりでしたが送球が乱れ大分豊府の夏が終わりました。

 

 

まさかの幕切れ。

 

悔しい初戦敗退となりましたが、白球を追ったこの3年間はかけがえのない思い出となりました。

 

 

 

 

 

 

◆渕野詩選手

 

「家で泣いたりすることもあったけど、でもそこで諦めてやめるんじゃなくてやっぱり続けてきたおかげで今の自分がある。最高の仲間に出会えてよかった」

 

 

そんな彼女を母裕子さんは。。

 

 

◆渕野詩選手の母

 

「よく頑張ってきたなと思う。女の子でも普通に受け入れてくれるし、野球やってよかったなと思う」

 

 

 

 

チームとしての夏は終わりましたが、渕野選手は連合チームの一員として女子野球の全国大会に出場し、甲子園で行われる決勝を目指します。渕野選手の熱い夏はもう少し続きそうです。

 

 

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