組体操も騎馬戦もない? 昔と令和の「運動会」消えた名物種目と新たな取り組み 大分
アトツギがつくる「筋トレスイーツ」
大分県の若手経営者・アトツギたちが、家業の未来を切り開くべく奮闘している。彼らの挑戦を後押しする県の支援プログラムが、新たな可能性を生み出す原動力となっているのだ。今回は、地元の特産品を活かした新商品開発に挑む若き後継者の物語を紹介する。生み出すのは自慢のサツマイモを使った「筋トレスイーツ」だ。
新しい挑戦
豊後大野市に拠点を置く農産物加工会社「豊後大野クラスター」。この会社で、新商品の開発に取り組んでいるのが2代目アトツギの後藤龍一郎さんと弟の真之さんだ。同社の主力事業は、大手食品メーカーやレストラン向けの業務用冷凍野菜の製造。しかし、後藤兄弟は、ここに留まらない新たな挑戦を始めている。
自慢のサツマイモ
「大分の野菜の美味しさをもっと手軽に知ってほしい」。そんな思いから、彼らが目をつけたのが、地元特産のさつまいも「ベニハルカ」だ。ビタミン、タンパク質、ミネラルが豊富なこの食材を使って、一般消費者向けの新商品開発に乗り出したのである。
自社農場まで立ち上げる
後藤兄弟の挑戦は単なる商品開発に留まらない。納得のいく品質と安定した収穫量を追求するため自社農場まで立ち上げたのだ。
ー後藤真之さん
「豊後大野市は、サツマイモ栽培に適した土壌を持つ土地です。サツマイモも糖度が高くて有名」
サツマイモのペースト
サツマイモの美味しさを最大限に引き出すための秘密兵器が、マイナス40度の急速凍結庫だ。蒸した完熟のベニハルカをこの庫内で一気に冷凍することで、美味しさと風味を逃さず閉じ込めることができるという。この技術を駆使して作られたサツマイモのペーストが、新商品のベースとなる。
ー後藤龍一郎さん
「このペーストを使って、今までにない商品を作りたい」。
自慢のさつまいもをベースに新しいヒット商品を生みだしたい。そこで彼らが頼ったのが大分県のアトツギ支援事業「GUSH」だ。
「GUSH」が後押しするアトツギの夢
GUSHはアトツギの支援に特化した約7ヶ月間にわたるプログラム。
ー大分県経営創造・金融課 別所宏朗さん
「アトツギを対象に伴走支援する事業。新事業の立ち上げやどう家業を変革していくか専門家を入れながらつくりあげていく」
2022年の開始以来、すでに21人のアトツギが参加し、様々な分野で成果を上げている。
プログラムの成果
日田市中津江村で林業を営む田島山業も「GUSH!」に参加した企業の1つ。長年、林業を営んできた同社で管理している森林は1200ヘクタールに上る。
新しいビジネス
プログラムを通じて磨き上げたのは、この広大な森林が吸収するCO2をカーボンオフセットの「商品」として販売する新しいビジネス。世界的に環境保全への関心が高まる中、LINEヤフーと10年の売買契約を結ぶなど大きな成果を出した。
新商品のコンセプト
後藤兄弟も、このプログラムを通じて専門家のアドバイスを受けながら新商品のコンセプトを練り上げた。その結果生まれたのが、「筋トレ中の人でも我慢せずに食べられるスイーツ」だ。サツマイモ本来の栄養価はそのままに、飲みやすさを追求して豆乳を混ぜ込んだことで素朴で自然な甘さに仕上がっている。
後藤さんは
ー後藤龍一郎さん
「筋トレとかスポーツの後の栄養補給におすすめです。効率よく飲めるようにウィダータイプでそのまま飲めるパッケージを考えている」
若い人が憧れる農家に
新事業に取り組むアトツギを創業者で父親の龍彦さんは「夢を持って入ったきたので面白いアイデアと仕事で変化していってほしい」と見守っている。
そんな2人の夢とはー
ー後藤真之さん
「われわれの下の世代の若い子たちが憧れるような農家を目指していきたい」
ー後藤龍一郎さん
「時代のニーズに合った食品野菜を提供して世界に羽ばたきたい」
若きアトツギたちの挑戦が地域に新たな息吹を吹き込み、その情熱と創意工夫が大分の農業の未来にもつながっていく。
後藤兄弟が参加したGUSH!では2024年度の参加者を7月16日まで募集している。応募はGUSH!特設サイト【こちら】から。