戦時中に大分市の収容所で亡くなったドイツ兵の墓を大使館が訪問「墓が守られていることに感謝」
豪雨から4年 復興進む天ヶ瀬温泉に新たな課題
大分県内を襲った7月豪雨からまもなく4年となります。
川が氾濫し大きな被害が出た日田市天瀬町の温泉街では復興が進む一方で、暮らしの変化を迫られている住民たちがいます。
2020年の豪雨 大分県内で6人死亡 多くの建物が浸水被害
2020年7月に大分県内を襲った豪雨。日田市と由布市であわせて6人が亡くなりました。
――TOS 牧利亮記者(2020年)
「天ヶ瀬温泉に来ています。中心部を流れる川の橋が壊れ甚大な被害が出ていることが分かります」
当時、大きな被害が出たのが日田市の天ヶ瀬温泉街です。
玖珠川が氾濫し多くの建物が浸水、女性1人が濁流に流され亡くなりました。
豪雨から4年 流出した橋は来月完成予定 県は大規模な河川改修計画
豪雨からまもなく4年となる温泉街を訪れました。(2024年6月4日取材)
――TOS児玉直輝記者
「およそ4年前の水害で橋が流された現場では、新しい橋が架けられようとしていて、開通に向けた工事が進んでいる」
当時、この新天ヶ瀬橋は増水した川の水に押し流され流失しました。
現在は橋桁の高さを60センチ高くして再建中で、7月末の完成を目指しています。
そして川岸ではコンクリートで新たに補強されている場所もありました。
大分県は防災力をさらに高めるため大規模な玖珠川の改修計画に取り組んでいます。総事業費は70億円で、2032年ごろまでに工事を完了させたい考えです。
計画では川幅を最大約12メートル広げ、川底を約1メートル深くするなどします。
そうすることで、仮に4年前と同じ量の雨が降っても床上浸水を防げるということです。
約30軒が立ち退きの対象 完了したのは4年でわずか数軒
そのために約30軒の住宅や旅館などが立ち退きの対象となっていますが
豪雨から4年となるいま、立ち退きが完了したのは約30軒のうち数軒のみ。
対象の住民は不安を抱えています。
――店が立ち退きの対象
「いつなんだろう、いつまでに(店を)退けてくださいっていう話が来ないと、私も(荷物などを)どこに持っていこうか何も考えてない」
――住宅が立ち退きの対象
「いま県が正式な契約書を作るのを待っている状況。それが出来ないと補償金も出ない。一番不安です、一番の悩みの種」
立ち退きが進まなければ工事も始められません。
県は2026年度までにすべての交渉を完了させたい考えですが、時間がかかっているのが現状です。
――大分県日田土木事務所建設課 行村理那さん
「今回移転対象となる家屋が約30軒と多く、用地交渉に向けた準備に時間を要しているが、早期に交渉が着手できるように作業を進めていきたい」
日田市も「街並みの整備」を計画 ただ、県の改修工事着工が前提
一方、日田市も温泉街の活性化を目指し新しい街づくりを計画しています。
ライトアップなど街並みの整備を予定していますが、この計画も川の工事が始まらなければ前に進みません。
4年前の豪雨を乗り越え復興の道を辿ってきた日田市の天ヶ瀬温泉。
災害に強く、活気のある街づくりに向けて新たな課題に直面しています。