土下座強要「クレームの域超えている」46歳男に有罪判決 “カスハラ”に考え方を示す企業も 大分

2024年03月14日 12:30更新

客が従業員に対して暴言や迷惑行為に及ぶカスタマーハラスメント“カスハラ”で、有罪判決です。
宅配便の受け取りを巡って運送会社に不当な言い掛かりをつけ営業所長に土下座させたとして、強要の罪に問われている大分市の男に13日、執行猶予付きの有罪判決が言い渡されました。

強要の罪で有罪判決を受けたのは、大分市に住むコンビニエンスストア従業員の46歳の男です。

判決などによりますと被告は去年2月、母親宛ての荷物が指定の日時に届かなかったことに腹を立て、市内の運送業者の営業所で所長の男性に対し大声で繰り返し怒号を浴びせました。そして受付カウンターを拳で叩きつけた上所長に対し土下座を要求し、その様子を動画で撮影したとされています。

13日の判決公判で、初谷湧紀裁判官は「クレームの域を明らかに超えた非難に値する行為で被害者が受けた恐怖心や精神的苦痛も大きい」などとして被告に懲役10か月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。

弁護側は控訴しない方針です。

“カスハラ”増加はコロナ禍が影響

 

客が従業員に対して暴言や迷惑行為に及ぶカスタマーハラスメント“カスハラ”は近年社会問題となっていて、国は2020年に対応指針を策定しました。

また、企業に対しての調査では「過去3年間に客などから著しい迷惑行為があった」と回答した企業は20%近くに上っています。


 

専門家は、新型コロナの影響で長期間人と接触がなくコミュニケーション不足となっていることが、カスハラが増えた原因の一つと指摘します。

――関西大学 社会学部 池内裕美教授
「どんどん知らない間に不満がたまっていく、蓄積されているという状況。今までだったらひっかからないようなことでも、ちょっとしたことで腹が立ってしまう」


 

従業員を守る 企業側も“考え方”公表

 

こうした中、実際にカスハラに対する考え方を公表する企業も。

トリニータを運営する大分フットボールクラブでは、「あの従業員を見るのが嫌だ」といった内容をSNSに投稿されるなどし、過激な言動から従業員やチームを守る必要性を感じたといいます。


 

――大分FC 小野賢治取締役
「カスタマーハラスメントと『トリニータが受けるべき意見』はきちんと分けて考えるというのを理解してもらえればというので、今回考え方を示させてもらった」

悪質と判断した場合は警察や弁護士に相談し適切に対処する方針です。

悪質なカスタマーハラスメントで本来の仕事に影響が出ないように、企業側も対応に追われています。

 

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