一人前のフライトドクターに「救急の最前線」で奮闘する2人の若手医師に密着【大分】

2023年12月14日 12:30更新

大分県内の救急医療を支えるドクターヘリ。
フライトドクターとして独り立ちを目指す2人の若手医師を紹介します。

大分大学医学部附属病院のドクターヘリ。
県内であれば20分以内に駆け付けることが出来ます。


 

ーー高度救命救急センター 医師 古荘侑穂さん
「落ちた時の記憶はあるんですね」

ーー搬送される男性
「そこまではある」

ドクターヘリの最大のメリットは医師が現場に駆け付け、治療開始時間を大幅に短縮できること。
県に2012年に導入され、これまで5000件近く出動し多くの命を救ってきました。


 

フライトドクターとして研修中の医師4年目・古荘侑穂さん。
ヘリに1人で乗るためには救急の専門医の資格が必要で、5年間研修して試験に合格することを目指しています。

ーー古荘侑穂さん
「大学1年生の時の救急科のオリエンテーションがあって、私がやりたいのは救急科だなっていうのを思って、そこからずっと救急科志望でやらせてもらっている」

出動要請は突然やってきます。
昼食中にも…

「ドクターヘリ、ドクターヘリ出動」

玖珠町で70代の男性が意識を失い心疾患の疑いがあるという要請。
車だと1時間以上かかりますが、ドクターヘリは離陸して13分で現場付近に到着、救急車に合流しました。

ーー古荘侑穂さん
「分かりますか?目開けられます?」

到着した時は意識が無かった男性。
古荘さんたちは迅速に診断をし救急車の中で薬を投与、その結果、男性は意識を取り戻しました。

ーー古荘侑穂さん
「さっきみたいに意識が無かった患者に意識が戻った瞬間とか、本当に命を落としかけの患者が戻って来た時にすごくやりがいを感じる」


 

10月、大分市内で行われた懇親会。
大学病院の各科の仕事を学生に知ってもらうために開かれました。
県内は過去5年で、研修医を終えて救急科を選んだ人は9人と、九州では最も少ないのが現状で、PRに力を入れています。

この日、学生を前に救急医療のやりがいを話す女性がいました。
古荘さんと同期の医師、池辺茉莉さんです。
池辺さんも1人前のフライトドクターを目指して研修中です。


 

ーー高度救命救急センター 医師 池辺茉莉さん
「あ、飛ぶかもしれない」
「接触前要請の自動車対自動車の交通外傷」

池辺さんにとって初めてとなる複数のけが人がいる交通事故。
このようなケースでは治療の優先順位を決めるトリアージに基づいてどう行動するかが重要になります。

ーー池辺茉莉さん
「1人は確定で胸部痛と鼻出血がいて、あとは状況がわからない。救急隊がトリアージをしてくれてると思うので」

離陸から20分ほどで到着。
当初はけが人の人数も正確には分かっておらず、現場は事故発生直後で混乱していました。

ーー池辺茉莉さん
「黄色、こっちが緑ということですよね。え、(けが人が)4人いるじゃないですか。(けが人)出せます?出せるなら出してください。胸はどこらへんが痛いですか」

4人のけが人のうち60代男性をヘリで搬送することに。
男性は臓器の損傷と骨折などがあり重傷で大学病院に入院することになりました。


 

医療の最前線で多くの患者と関わるフライトドクター。
悩みながら、命に向き合う毎日です。

ーー池辺茉莉さん
「もっと早く元気になってたかもしれないとか、もっとこういう違う方可能性があったかもしれないというのは常につきまとう。今、自分が働いて先輩の先生方みたいになりたいなって心の底から思うし、本当に目の前の人の力になる人になれれば」


 

ーー古荘侑穂さん
「上手くいくこともいかないこともあって、やっぱりやりがいを持ってやっている。のちのちは独り立ちして(ドクターヘリなど)病院前診療とかでも活躍していけるような医師になりたい」

救急医療の世界を歩み始めた2人の若手医師。多くの人の命を救うためきょうも奮闘しています。

 

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