大雨乗り越え“小鹿田焼の里”一歩ずつ前へ 「やっとできる」共同窯で大雨以来、初の窯焼き【大分】

2023年10月11日 08:00更新

2023年7月に大分県日田市や中津市を襲った大雨から3か月となりました。
小鹿田焼の里として知られる日田市の集落は被害にあった窯がすべて復旧し少しずつ前に進み始めています。

小鹿田焼の里として知られる日田市小野地区の皿山集落です。
10月、集落の窯元が共同で使う焼き窯に7月の大雨以来初めて火が入りました。

7月に県内を襲った記録的な大雨。
皿山集落では焼き物に使う土を砕く唐臼が濁流で流されるなど集落にある39の全ての唐臼に被害が出ました。


 

ーー黒木史人さん
「普段なら側溝の中を水が流れるが、地表の部分もだいぶ流量があって水が一部窯の中に入っていった」

こう話すのは共同窯を使う窯元・黒木史人さんです。
小鹿田焼の窯元はあわせて9軒あります。
そのうち4軒は自前の窯がありますが、黒木さんを含む5軒の窯元は「共同窯」と呼ばれる1つの窯を交代で使って器を焼いています。

しかし、7月の大雨で側溝から溢れた雨水が共同窯の一部に入り込み窯の中が10cmほど浸水。
黒木さんは本来なら7月に共同窯で約5000個を焼く予定でしたが断念せざるを得ませんでした。


 

大雨から約3か月となった10月6日。
共同窯に黒木さんの姿がありました。

ーー黒木史人さん 
「心配な気持ちと、この先どうなるかなというのは思っていた」

大雨以降、集落全体の復旧作業に追われていましたが、ようやくこの日、共同窯に器を運び入れることが出来ました。

ーー黒木史人さん
「やっとできるなという気持ちと、あとやっぱり(窯に)水が入った面でどう仕上がるのかという不安も両方ある」

そして今週から3か月ぶりの窯焼きに臨んでいます。
黒木さんは思いを込めて窯に薪をくべていきます。

ーー黒木史人さん
「ようやく何とか火をつけられて安心している。もちろん気合は入ってます。色々な人の協力でいつも通りに窯を焼くことが出来たので、これが皆さんの手元に届けば」


 

大雨から3か月。
被災地の完全な復旧には時間がかかりますが、小鹿田焼の里は少しずつ前に進み始めています。

焼いた器は12日に窯出しをする予定で11月から黒木さんの工房で販売が始まるということです。

 

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