12年で床上浸水4度 住み続けるか、移住か…水害の不安と生活再建 

2023年08月22日 18:40更新

7月、県内を襲った豪雨で被災地はいまだ生活再建の途中です。
今回は「災害と暮らし」についてお伝えします。


県内を襲った記録的な豪雨。
7月、中津市耶馬渓では24時間雨量が7月の観測史上最大となる270.5ミリを観測し、山国川が短時間で増水しました。

県によりますと今回の豪雨では山国川の改良復旧工事が進んだことで2012年の九州北部豪雨と比べ、川沿いの地域の床上浸水被害が3分の1以下に減ったということです。

一方で、上流部では多くの地区で濁流が流れ込むなどの被害が出ました。

ーーTOS田辺智彦キャスター
「中津市山国川の上流部にある平小野地区。川の堤防が工事で1m高くなりましたが、増水した川はこの高さを乗り越えて住宅の方に流れ込みました」

今回の豪雨で平小野地区は5世帯が床上・床下浸水しました。

ーー辻さん
「外に出たらもう水が上がってる、だからもうちょっとあっという間で。今度の水は」

この地区に50年以上住む辻カスミさん(83)は自宅が床上浸水被害に。

ーー辻さん
「だいたい1m50cmくらいじゃないですかね。こんなのはもう初めてですね」

辻さんは、隣に住む姪の寺野さんと着の身着のままで避難するのが精いっぱいだったと言います。

ーー寺野さん
「もう必死でしたね。道路を通れないかもしれないと思った。すごい水の量が上の集落の方から流れてきていて」

実は辻さんの家が床上浸水するのは今回だけではありません。
2012年の九州北部豪雨で2度、その5年後の豪雨で1度、さらに今回も。
この12年で自宅が4度も床上浸水しました。

その度に土砂を片付け、水害に不安を抱えながら生活してきましたが…

ーー辻さん
「今まで何とか(家を)直そうと思ったが今度ばかりは、ちょっと無理。今度だけは(家を)始末しようかなと思っています」

後日、辻さんは自宅から500mほど離れた高台で空き家を借りて、夫と新たな生活を始めました。

ーー辻さん
「川を何とかしてもらわないと同じことだから毎年7月が恐ろしい。毎年だから」

辻さんは、水害の不安が無くなるなら今の家に住み続けたい思いもあると話していました。
県によりますと、現在改良工事中の平小野地区の堤防の高さについては、改めて住民の意見も聞きながら工事を進めていきたいとしています。

 

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