過去の豪雨教訓に 住宅街への浸水防いだ“門”や流木せき止めた“鉄の棒”  水害対策その効果【大分】

2023年07月28日 14:30更新

甚大な被害が出た7月10日の大雨から2週間あまりが経過しました。
被害が出た日田市や中津市は、過去にも度々水害に見舞われていて対策が施されてきました。その効果を取材しました。

住宅街への浸水防いだ「樋田陸閘」

 

7月10日、県内を襲った大雨。
特別警報が出された中津市では山国川が氾濫しました。

それでも…
中津市の樋田地区では、先日の大雨では住宅街に浸水被害はありませんでした。
その時に活躍したのが樋田陸閘です。

樋田地区は2012年の九州北部豪雨の際、山国川の水が流れ込み多くの住宅で浸水被害が出ました。
これを受け2017年に設置されたのが陸閘と呼ばれる門。
高さは約1.5メートルで川の状況を見ながら地元の消防団が手動で閉めます。


 

7月10日の樋田地区の様子です。
川から溢れだした濁流が住宅街のすぐそばまで押し寄せていますが、門を閉めたことで水がせき止められています。
手前の水が門を超えておらず、その効果が分かります。

ーー山国川河川事務所 添田昌史さん
「しっかりと陸閘の方が閉まって、効果の方を最大限発揮できたのではないかと思っている。なければ間違いなく浸水が発生したという水位まできていたと思う」

過去に浸水被害にあった地区の住民は…

ーー松野淳子さん
「水門がないときは水がこちらまで入ってちょっと低い家は床上浸水。(今回は)水が全然入ってこなかったので随分安心した」


 

流木せき止めた「小野川スリット」

 

一方、日田市小野地区では…

日田市の小野川では、川の途中に杭のようなものが設置されていて、そこに大量の流木がせき止められています。

2017年の豪雨で小野川は氾濫。
約16億円かけて復旧工事が行われ、その際、新たに整備されたのが「小野川スリット」です。
くし状に鉄の棒を置くことで流木をせき止めます。


 

今回の大雨では大量の流木が引っかかっていて、下流に流れ込むのを防いでいました。

ーー日田土木事務所 築地祐一郎さん
「この木が全て下流まで流れていったときには河川を塞いだり、橋梁をせき止めてしまったりと被害が予想されるので、事業の効果としては非常に高いものがあると思う」


 

大肥川は水路設置で水あふれず

 

一方、同じ日田市を流れる大肥川では…
大きなカーブがあり2017年の豪雨では、この部分から水があふれ周辺の大鶴地区に甚大な被害がでました。

そこで、県は本来の川とは別に水の逃げ道となる直線の大きな水路を造設。
この地区では今回、6年前と同じ程度の雨が降りましたが大肥川の水が溢れることはありませんでした。

しかし、川の沿線では改修した護岸が再び崩れている場所もあり想定を上回る状況だったということです。

ーー日田土木事務所 築地祐一郎さん
「我々もがんばって整備はしていくが、全て100%安全に整備できるというのも予算の規模としても難しいものもある。いつ自分の身が危険になるかわからないといったところで常日頃から気をつけてほしい」

ハード面の対策は一定の効果があるものの限界もあり1人1人の防災意識が重要です。

 

最新のニュース