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大分県が実現を目指す「東九州新幹線」。
九州の新幹線は小倉から鹿児島中央が繋がっていて、2022年には佐賀の武雄温泉と長崎の間も開業しました。九州で新幹線が通っていないのは大分と宮崎だけということになります。大分に新幹線が通る日は来るのか、取材しました。
大分県が実現を目指す「東九州新幹線」
大分県が実現を目指している「東九州新幹線」。福岡を起点に大分、宮崎を通り鹿児島までを結ぶ計画となっています。
2016年に公表された試算では、大分ー小倉間の所要時間は現在の約1時間20分から約30分に短縮。一方で、整備費用の総額は約2兆6700億円と推計されています。
県では今年度、これまで検討を進めてきた日豊本線ルートに加えて日田や久留米を通る久大本線ルートについて調査を始めました。
「基本計画路線」決定も50年進展なし…
新幹線の開業が相次ぐ九州。2011年には博多から鹿児島中央までが開業。
さらに去年は、佐賀の武雄温泉から長崎の間も繋がりました。
一方、大分県はというと…
ーー平松守彦知事(当時)1992年県議会答弁
「整備新幹線に格上げしてもらわないと困る。九州全体のコンセンサスをとって鹿児島新幹線、長崎新幹線、それからこの東九州新幹線、3本の新幹線を九州全体のコンセンサスの中で実現する方法を考えていきたい」
東九州新幹線は1973年に国が基本計画路線に決定。
県は長年「整備計画路線」への格上げを政府に要請してきましたが進展はないままです。
新たな動き“久大本線ルート”とは
こうした中、7月に開かれた県議会で自民党の大友議員が東九州新幹線の県の考えについて質問。
そこで新たな動きが明らかになりました。
ーー佐藤樹一郎知事
「県民の関心をより高めるため、これまでの取り組みに加え久大本線ルートも含めた費用対効果の調査を実施していて、並行在来線などの課題とも併せて今後議論を行っていきたい」
県が調査を新たに始めたのが久大本線ルート。
これまで検討されてきたのは、大分から小倉を通る日豊本線ルートです。
一方、久大本線ルートは大分から由布・日田を通り、福岡までを繋ぐ想定で今回初めて調査が行われます。
県は約2000万円をかけ2つのルートの所要時間や事業費などを調べていて、秋にも公表する方針です。
ーー県交通政策課 藤川将護課長
「久大線ルートについても、観光面あるいは西九州新幹線との接続で、久大線のルートを推す声もあった。新たに二つのルートを示すことによって、さらに議論が深まっていく、加速していくのではと期待している」
久大線沿線、観光地湯布院では
久大本線沿線ではどのように受け止められているのか。
観光地湯布院では…
ーー店の人
「九州を代表する観光地なので、新幹線が通ることになったら湯布院の魅力を分かってくれる客がたくさん来てくれると思う」
ーー由布院温泉観光協会 太田慎太郎会長
「未来につながる話なのではないか。次の世代、次の次の世代が、この観光地をサスティナブルに支えていくために、そういうインフラが必要になるんではないかという風に思っているので好意的に捉えている」
「新幹線が本当に必要か」専門家は…
一方、専門家は、今後一層人口減少が進む中で新幹線が本当に必要なのか、議論が不可欠だと指摘します。
ーー新幹線の問題に詳しい青森大学 櫛引素夫教授
「新幹線の建設によって恩恵を被る地域と恩恵が薄い地域、むしろデメリットを被った地域は分かれてくる。新幹線が走るということは、それまで特急列車が止まっていた駅に止まらなくなる。それだけでも選択と集中が効いてしまう要素がある。(新幹線建設まで)30年スパンで最低考える必要がある。小学生の子たちが地域を支えるぐらいの年になっていく間に、どんな大分の未来をつくるのか。まさに親から子にバトンを渡すつもりで対話を続けていく(必要がある)」
ハードル高い「整備計画路線」への格上げ
東九州新幹線の実現には多くの高いハードルも…
東九州新幹線は現在「基本計画路線」で、まずは「整備計画路線」への格上げが必要です。
ただ、1973年に整備計画路線になった西九州新幹線や北海道新幹線などもまだ、全区間の完成には至っていません。
大分で新幹線が走るのはいつになるのか…
まだまだ終点は見えなそうです。