【今年の漢字】街ゆく人は?「光、今人生で一番きらきらしている」「変、10キロ痩せた」大分
地方からスタートアップ
革新的な事業で急成長を目指すスタートアップ企業。地方でも今、様々なスタートアップが生まれていて、これまで学生の進路といえば「企業への就職」といった常識も変わりつつある。
学生のうちから起業するというケースもあり、起業を志す学生同士のコミュニティもあるという。現状を取材した。
起業家支援の取り組み
「ゴミを生まない宇宙産業をしたいと思ってこの会社を創業しました」
「よく例えるのは移動型のグランピング、それをウーバーイーツのような形で提供する」
ユニークな事業のアイデアが次々と飛び出すのは、スタートアップの支援を目的とした大分の官民共同のプログラム「YUKEMURINEXT」の発表会だ。
実現の可能性が高いビジネスプランを持った起業家などをサポートする取り組みで今年度は5社が選ばれた。選定されれば成長資金として100万円の補助が受けられる他、地場企業の経営者などからマンツーマンのサポートが受けられるという。
社会問題の解決をアプリで
選ばれた企業のうちの1社、STEAHの代表を務める田畑春樹さん。別府市の立命館アジア太平洋大学の4年生で、在学中にバングラデシュの留学生と共に会社を立ち上げた。
ーー田畑春樹さん
「社会課題に関心を持ったその瞬間からアクションを起こせるような世界をつくりたいというのが一番のビジョン」
田畑さんたちが取り組んでいるのが、社会課題の解決につながるアプリの開発だ。
バングラデシュのチームとリモートでアプリ開発
貧困や環境問題などに取り組むNPOなどの活動を紹介するアプリ。
アプリの利用者が興味、関心のあるテーマを選択すると、スポンサー企業がそのテーマに取り組む団体に寄付をするという仕組みで、仲介手数料が田畑さんの会社の収入源になる。
かつてバックパッカーとして世界を旅した際に貧困や環境破壊といった問題を目の当たりにした田畑さん。その解決に向けて誰もが簡単にアクションを起こせるきっかけになればとこの事業を立ち上げた。
別府市のシェアオフィスを拠点にバングラデシュのチームとリモートで打ち合わせをしながらアプリの開発を進めている。
起業志す学生たち
卒業を控えた今、学業と仕事でスケジュールはびっしりと埋まっている。
ーー田畑さん
「午前中に仕事をして授業が終わったらまたちょっと仕事してみたいな感じ」
そんな田畑さんにはアイデアが煮詰まった時などに訪れる場所がある。別府市のSEKIYA.so。ここは廃業した温泉旅館の一部を利用したシェアハウス。
現在、起業を志す県内の大学生6人が生活している。田畑さんもシェアハウスの開業当初から頻繁に訪れていて、互いの事業内容などを相談しあう場にもなっている。
「起業家は走り続ける」若者の決意
実はこのSEKIYA.soの運営もここに暮らす大学生が事業として取り組んでいるものだ。
ーーSEKIYA.so 代表・寺本聖さん
「住んでいる人同士が切磋琢磨してやりたいことの実現が生まれているのがすごい面白いなと住みながら思っている」
こちらは正月に皆でしたためた書初め。
田畑さんは自らが創作した漢字に決意を込めた。
ーー田畑さん
「走り続けるをテーマにしたいなと思っている社会課題を1つでも解決したかというとまだそうじゃない。早くサービスの提供を通して胸を張って堂々と社会を良くしていますという状態になることが一番の目標です」
世の中を変えるためにまずは一歩を踏み出そう。夢に向かう仲間たちとともに田畑さんはこれからも走り続ける。
今回、シリーズで紹介したスタートアップ企業について2月21日からはそれぞれの取り組みなどを紹介するイベントが別府市で開かれます。参加は無料で主催者は「起業に興味のある人や新たな事業のヒントが欲しいという人に参加してほしい」と話しています。
申し込みはこちらから