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ドクターヘリ導入から10年
大分県内にドクターヘリが導入されて10月で10年が経ちます。
これまでの出動件数は約4100件と救急医療の現場で多くの命を救ってきました。
ドクターヘリの担う役割や実際に命を救われたという人の声を取材しました。
現場に飛び立つドクターヘリ
大分県由布市にある大分大学医学部附属病院の高度救命救急センター。
24時間態勢で急病や事故などの救急患者に対応しています。
屋上に待機していたのが県内で唯一のドクターヘリです。
要請から3分で現場へと飛び立ちました。
県内どこでも20分以内に到着
県が2012年に導入したドクターヘリ。
この10年間の出動件数はあわせておよそ4100件。1か月に35件ほど出動していることになります。県内であれば、どこでも20分以内に到着することが出来るということです。
ーー大分大学高度救命救急センター 坂本照夫医師
「大分県は森林が多いところで山間へき地、離島もある。そういうところの救急医療はドクターヘリ導入によって有効な救急医療になっている」
出動要請は突然
ドクターヘリに搭乗出来るのは、高度救命救急センターの医師7人とフライトナースと呼ばれる看護師です。普段は病棟に入院している患者や急患の診療などを行っています。
そうした中、出動要請は突然入ります。
ーー看護師
「ヘリ ヘリ?」
ーー黒沢慶子医師
「OK分かった。ヘリコプター飛ばしましょう」
「ドクターヘリ、ドクターヘリ出動」
ーー塚本菜穂医師
「左手って言った?そこまで聞こえなかった。重機の下敷きしか聞こえてない」
豊後大野市で男性が重機に挟まれたという情報で、現場へと向かいます。
車ではおよそ1時間かかる距離でしたが、ドクターヘリは11分で現場近くの広場に到着しました。
男性は、意識があったものの骨折の疑いがあり、大学病院に運ぶことになりました。
事案は次々に
一方、この頃、ヘリの運航管理室では…。
ーー運航管理室 担当者
「今、重複、重複っぽいです。CPA(心肺停止)の事案が入る」
ヘリの出動中に別の要請が入ったのです。
患者を乗せたヘリが豊後大野市から帰って来ると、医師は急いで次の事案の確認に向かいます。
ーー黒沢慶子医師
「40代の女性が目の前で作業中に倒れてきた」
ーー塚本菜穂医師
「倒れてきた?!じゃあ上から落ちてる可能性がある?」
患者の男性をセンターのスタッフに引き渡して再び、次の現場へと飛び立っていきました。
ヘリで時間を大幅に短縮
ーー塚本菜穂医師
「ヘリに乗る患者は重症の人が多いので、自分が初めに接触して、そこで命が良くなるかどうかが変わってしまうという責任感は凄くあるが(容体が)良くなって、歩いて帰ってくれる人や、リハビリ転院していく人を見ると、やってて良かった、あの時こういう治療して良かったとすごく思える」
医師が現場に駆け付けることができるドクターヘリ。
その場で処置をすることで治療開始までの時間を大幅に短縮できます。
こちらの男性は、作業中の事故で心肺停止の状態となっていて、現場で緊急手術が行われることに。大学病院まで搬送する間も心臓マッサージが続けられていました。
実際に命を救われた人も
日々、厳しい現場が続きますがそんなドクターヘリに命を救われたという人に話を聞きました。
大分市内の高校に通う山田志音さん(16)です。
山田さんは小学2年生の時に車にはねられ意識不明の重体に。ドクターヘリで搬送され、事故からおよそ1週間後に意識が回復しました。
美容系の仕事に就くのが夢で、今は元気に高校に通っています。
ーー高校生2年生 山田志音さん
「その時、ヘリを呼んでもらってこの命があるのは良かったなと思っている。今のこの元気な状況に繋がっているので、本当にありがとう」
人材の確保が課題
一方、ドクターヘリを運用していくセンターにとって人材の確保は欠かせません。
ヘリに搭乗できる救急科専門医の数は十分ではなく医師の育成が喫緊の課題になっています。
取材中、センターには医学部の学生が実習に訪れていて、教育にも力を入れているということです。
ーー大分大学高度救命救急センター 坂本照夫医師
「救命センターには救急外来をしないといけない先生、救急病棟の患者を管理する先生も必要だし、ドクターヘリに乗って活動する先生も必要。皆さんの協力を得ながら若い良い救急医を育てていきたい」
10年の節目
10年という節目を迎えたドクターヘリ。
これからも1秒でも早く現場に駆け付け、多くの命を救います。