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去年2月、大分県大分市で起きた交通死亡事故で、時速194キロで車を運転したとされる元少年に危険運転致死罪を適用するよう求める署名を、亡くなった男性の遺族が11日、大分地検に提出しました。
遺族の思いなどを取材しました。
194キロで走行‥元少年「何キロ出るか試したかった」
11日、大分地検に署名を提出したのは亡くなった男性の母親と2人の姉です。
◆事故で亡くなった男性の遺族
「ここまで(署名が)集まるとは思ってなかった。たくさん賛同してもらって本当に感謝している」
去年2月9日の午後11時ごろ、大分市大在の交差点で当時19歳の元少年が運転する車が、対向車線から右折してきた車と衝突し、右折した車を運転していた小柳憲さん(50)が亡くなりました。
元少年は時速およそ194キロで運転していたとされていて、捜査関係者によりますと「買ったばかりの外車で何キロ出るか試したかった」などと話していたということです。
地検は「危険運転」ではなく「過失運転」で起訴
警察は、元少年を危険運転致死の疑いで書類送検しましたが大分地検は、法定刑が軽い過失運転致死の罪で起訴しました。
「危険運転致死罪」の法定刑は20年以下ですが「過失運転致死罪」では7年以下となっています。
◆遺族
「あまりにも間違っていると思う。加害者だけが守られて被害者はこうやってずっと苦しむのか」
遺族によりますと、元少年を過失運転致死で起訴したことについて検察からは、衝突する直前までまっすぐ走り車を制御できていたなどと説明されたといいます。
では、194キロとはどんなスピードなのでしょうか。
犯罪被害者の支援を行う団体が194キロでの走行を再現したイメージ映像。
194キロでの走行は、運転手の視点では辺りの安全確認がよくできないほどの猛スピードであることが映像から分かります。
また、右折しようとする車の視点で見ると、法定速度の60キロの車が近づいてくるのがしっかり確認できるのに対し、194キロの車はあっという間に通過してしまいます。
なぜ適用できない‥専門家は過去の判例影響指摘
こうした状況での過失運転致死での起訴について、専門家は過去の交通事故の裁判の判例が影響したのではと話します。
◆長崎総合科学大学 柴田守准教授
「三重県津市のケースが起訴の判断に影響した可能性が高いと考える」
2018年、三重県津市の国道で時速146キロで走っていた車がタクシーと衝突し5人が死傷。検察は危険運転致死傷罪で起訴しました。
しかし、「片側3車線の直線道路を走行していて、146キロを超える速度でも制御困難な速度とは言えない」などとして判決では、過失運転致死傷罪による懲役7年が言い渡されました。
危険運転の条文には「進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」という一文があり、専門家はこの法律の解釈と世論の感覚にズレがあると指摘します。
◆長崎総合科学大学 柴田守准教授
「危険運転致死罪は裁判員裁判だから一般国民も加わって公判と評議がされる。仮に大分地裁が危険運転致死罪の成立を否定したとしても、一般人の感覚との乖離を表面化させることができる。起訴せずに悪しき前例をつくるという懸念よりは、法的ルールの設定上の問題点をあぶりだすことに意義を見出すべき」
遺族は訴因変更求め2万2141人分の署名集める
10月、亡くなった小柳さんの母親が事故現場を訪れ、花を手向けていました。
◆小柳さんの母親
「病院に着いたときにね、遺体を触ったらあったかいんですよ」
遺族はこの1か月間、元少年に地検が適用する罪を変える訴因変更を求め、署名活動を行ってきました。この日は、危険運転致死傷罪が制定されるきっかけとなった1999年の東名高速の事故の遺族など、全国各地から支援者が参加しました。
11日までに集まった署名は2万2141人分。
遺族は11日、この署名を大分地検に提出しました。
署名を提出した遺族によりますと、大分地検は「過失運転致死罪と危険運転致死罪どちらを適用するか検討する」と回答したということです。
◆遺族
「声を上げなければそのままの罪名(過失運転致死罪)で裁判は終えているから、再度検討してもらえるのは良かった。ただまだ罪名が(どうなるか)分からないので安心しているわけではない」
遺族の思いに対し大分地検がどのような判断をするのか、注目されます。