最低賃金854円に 過去最大の32円アップに喜びの声の一方‥事業者の「負担」に

2022年10月10日 13:00更新

「854円」。

これは、10月5日から引き上げられた大分県内の最低限の時給=「最低賃金」です。

昨年度からの引き上げ額は32円と過去最大です。

 

労働者にとっては嬉しい反面、事業者の負担は増えることになります。

 

過去最大の32円引き上げも全国平均を107円下回る

 

854円となる大分県内の最低賃金。

5日から一部の業種を除く県内全ての労働者に適用されます。

 

◆街の人は

「上がってくれる分にはありがたい」

「もうちょっと高くして欲しい」

「全体的に物(の値段)が上がっている中で、そういう風な感じで少しずつ上がっていくというのはいい方向なんでしょうけれども、現状生活していくと考えるとまだまだなような気がする」

 

高騰が止まらない中、昨年度からの引き上げ額は過去最大の32円。

それでも、県内の最低賃金は全国平均よりも107円低く、最も高い東京都の1072円と比べると200円以上の開きがあるほか、最も低い県との差はわずかに1円です。

 

時給アップで嬉しい従業員 苦しい事業者

 

それでも、人件費のアップは事業者の負担に。

大分市の洋菓子店です。

 

10月から、研修中のパート従業員の時給を24円引き上げ、854円にするといった対応を取りました。

 

◆和みSweets笑音 中川雅章オーナーシェフ 

「時給があがる分には仕方ないのかなと思っています」

 

従業員からは喜びの声が。

 

◆パート従業員

「モチベーションも上がるし時給が上がることはすごく嬉しい」

 

◆和みSweets笑音 中川雅章オーナーシェフ

「工夫としては必要な時間、必要な人数に来てもらう、働いてもらうという感じのスタンスを取っている。メリハリをつけてパートさんとやっていきたいと思っている」

 

材料価格が高騰する中、経費削減に努め、商品価格をなんとか据え置いている厳しい状況ですが、仕事の効率化で乗り越えていく考えです。

 

◆和みSweets笑音 中川雅章オーナーシェフ

「時給がアップすることで皆さんが収入が増えて、また買い物意欲が高まればいいなという気持ちを持ちながら働いている」

 

経済の好循環を生むための支援も

 

一方、事業者側を支援する制度も。

国は従業員の賃金を上げた中小企業などを対象に、生産性の向上を目的とした機器の導入や研修などの費用を時給の引き上げ額や人数に応じて助成しています。

 

さらに県では、この助成額を上乗せするなどして支援しています。

 

◆大分県雇用労働政策課 深田稔さん 

「企業として生産性を高めて、しっかり利益がうめて、さらに賃金がしっかり支払われるような企業の体質になってもらえるように是非、活用してもらえれば」

 

経済の好循環を生むためにも、どのように賃金向上を実現していくのか。

私たちの生活に直結する大きな課題となっています。

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