「別府=パリ?」80年前には放射状の形に 中心のシンボルは会員限定の温泉

2022年09月14日 21:00更新

視聴者から情報提供 衛星写真のパトロールで見つけた「なんだこれ?」な建造物

 

テレビ大分に視聴者からこんなメッセージが届きました。

 

 

――視聴者の情報提供のメッセージ

 「衛星写真で大分県をパトロールしているときに見つけた『なんだこれ?』な施設がいくつかございますので、情報提供させていただきます」

 

 

視聴者のメッセージをもとに特集の前編では大分市にある「?の形の建物」を調査。今回は放射状の形をした別府の街並み「六角形の街路」についてです。この別府の街並みは明らかに意図して整備されているようですが、果たしてどんな狙いがあるのか。調べてみるとなんと遥か離れたパリとの意外な関係が見えました。

  

「六角形の街路」は80年前の地図にも記載

 

現地に向かう前に、別府の歴史に詳しい平野資料館の平野芳弘館長に話を聞きました。

 

 

平野館長は資料館が所蔵している80年前の地図を見せてくれました。

 

 

 

――ディレクター

「ありましたね、ここに。この当時から六角形の形をしていますね」

 

 

なんと、六角形の街路は80年も前から存在しているというのです。

 

 

 

――平野資料館の平野芳弘館長

 

「六角形の区画整理は今見ても斬新」

 

 

探求心が刺激される中、いざ、現地の別府市南荘園町に向かいました。

 

 

――ディレクター

「カーナビでも六角形が見えてきました。六角形の中に入りましたね。ぐるぐる回れるようになっていますね。自分がどこを走っているのかわかりづらい感じです」

 

 

 

ドローンで上空からも撮影してみましたが、道路は放射状にまっすぐ伸びていました。この六角形の端から端までの距離はおよそ150mです。

 

  

六角形の街路の中心には別府ならではの施設

 

六角形の中心部にはある建物が。それは湯の町別府ならではの「温泉施設」でした。その名は「新六角温泉」。会員である地域住民のみが入浴できるこの温泉。一般には開放していないということで特別に許可をもらって、中に入れてもらうと…

 

 

――ディレクター

「湯舟が六角形なんですね」

 

 

なんとも見事な六角形へのこだわりです。さらに、特別に入浴もさせてもらいました。

 

 

――ディレクター

「ちょうどいい温度です。六角形ならではの腕を置けるのはいいですね」

 

 

 

背景に新1万円札の顔「日本経済の父」の存在

 

では、なぜこうした街並みができたのでしょうか。

 

 

――温泉を管理する会社の代表・石坂太郎さん

「こちらは渋沢さんとちょっと関係があったようで、その影響を受けて、小さいんですけど、放射状に作られています」

 

 

渋沢さんとは、新しい1万円札の顔・渋沢栄一のこと。実はこの別府の街づくりには渋沢栄一が関係しているというんです。

 

 

渋沢は放射状の街路で知られる東京の田園調布を手掛けたことは知られていますが、昭和初期にこの区画を整備した会社が渋沢栄一と交流があり、「六角形の街路」も渋沢の街づくりの考え方が影響しているということです。

 

 

さらに、その渋沢が参考にした場というのが・・・フランスのパリ。

 

 

上空からパリの凱旋門周辺の街並みと、別府の六角形の街路を比べてみると…似ているといえば、似ているような気も。

 

 

凱旋門が中心にあるパリ…温泉が中心にある別府…。中心部に配置されるシンボルにも地域らしさが出ています。別府の六角形の街路は遥か憧れのパリへと通じていました。

 

 

――温泉を管理する会社の代表・石坂太郎さん

「大変すばらしい街づくりで、ここで生活している皆さんもこの六角温泉を愛してくれていると思いますので、別府では成功しているのではないかなと思います」

 

 

街中の気になる建造物…あなたも調べてみたら、意外な事実に出会えるかもしれません。

 

 

特集の前編では大分市にある「?の形の建物」を調査しています。

 

 

白井 信幸記者

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