途上国の商品「日本人好みのデザインに」続けて35年 商店街店主が向き合う課題は

2022年06月14日 14:55更新

国連が定めた「持続可能な開発目標=SDGs」
今回は「フェアトレード」。

 

直訳すれば「公正な」「取引」となりますが、途上国での不利な取引はおかしいよ、無くしていこうよ、というもの。この言葉が一般的になるずっと前から、この問題に取り組んでいるお店が大分県中津市にあるんです。

 

◆フェアトレード「大地」 須賀さん

「これ、インドの“かすり織り”です。かすりは日本の特産とずっと思っていた。日本が始まりだろうと思って(現地に)行った。実はインドだった。シンプルだけど、いい感じでしょ?柄自体が落ち着いた…」

 

 

中津市にあるフェアトレード「大地」。

オープンして35年です。店内には、ネパールやインド、バングラデシュで作られた綿や麻の服や、生活雑貨などが並んでいます。

バッグやアクセサリーも。

 

「フェアトレード」支援 きっかけは「人の役に立つ仕事したい」

 

日本で「フェアトレード」への支援が動き始めたのが1970年代。

そして80年代の中頃から、途上国の製品を販売することで支援をしようというお店が日本にも生まれはじめました。

「大地」はその先駆けで、「フェアトレード」を支援する九州では初めてのお店です。

 

 

◆須賀さん

「初めて、作ったものがちゃんとした値段で買ってもらえるようになって生活できるようになった、という声を聞いた。ハンディのある人、いろんな差別を受けてきた人にとっては、金もまともに渡さないような、そういうことが普通に行われていた」

 

人の役に立つ仕事をしたい。

そんな須賀さんが知った、途上国でのアンフェアな場面。「貧富の差」だけでなく、「根強く残る身分差別」や「障害者差別」による買いたたきがありました。

 

途上国への支援は「少しずつ」でも「継続すること」

 

フェアトレードを支援する国際団体とともに須賀さんは、日本のお客さんが好むように商品をデザインして「少しずつ」でも「継続して」発注することで途上国への支援を続けています。

 

 

◆須賀さん

「不特定多数の大きなビジネスではなく、顔の見える関係の中で小さなビジネスをやってきたことで続けられたと思う。ドカン!というのが一番困る。ネパールでもインドでも言われた」

 

「フェアトレード」を通して途上国への支援を続けてきた須賀さんですが、ここにきて、もうひとつ気になっていることがあります。

 

お店の使命は「世界」と「地域」の課題に向き合うこと

 

とても身近な、地域の問題。

 

◆須賀さん

「商店街を通ったら分かるように、おそろしい勢いで店が消えている。店の役割としてはもちろん商品を売らないといけないが、同時に人が出会う場、特に、年を取っていく人が増えていく中で、孤立させない、人としゃべることがどんなに楽しいか、出会いの場としてお店がある」

 

 

地域の人とおしゃべりをして、遠い国の大変な人たちへ思いをはせる…。

須賀さんはこれからのお店の使命として「世界」と「地域」の課題に向き合うことを考えています。

 

<フェアトレード大地>
1987年オープン。日本のフェアトレードの先駆け。
服はオリジナルのものを現地で作ってもらっている。ナチュラルな風合いが人気。
中津市新博多町

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