夏。透き通る水のイメージから生まれた「川澄(かわすみ)」
ーー髙橋さん
やっぱり色で遊べるようになったら大したもんやなと。
夏の訪れは色彩豊かに表現しました。
一粒の和菓子に詰まった、儚い美しさや芽吹いたばかりの命。 全ての瞬間を生かした和菓子が今回の手みやげです。
訪れたのは、明治39年創業。佐賀関の和菓子店「髙橋水月堂」
こちらの名物は、関あじ・関さば最中。
「佐賀関ブランドとして、この名を広めたい・・・」地域一体となって力を入れていたおよそ30年前に誕生しました。
関あじには、こしあん。関さばには、粒あんと羽二重餅が入っています。
※さばの方がサイズが大きいです
実はこちら、大分での2巡目国体の際、上皇后様もおやつとして召し上がったとっておきの和菓子なんです。
あんこは、羊羹のようなさらりとした舌触りが特徴 。「甘すぎないこと」これが先代から伝わる、あんこの定義なのだとか。
と、ここで髙橋さん
ーー高橋さん
実はあんまり詰めたらいけない状態になってる。最中の皮を割っちゃうんです、が強いから。それで今、最中詰める禁止令が出ていて。今日は特別です。
和菓子作りに大切なのは、四季の移ろいに敏感であること。
「花鳥風月」「春夏秋冬」これは髙橋さん自身が最も大事にしていること。 取材で足を運んだのがちょうどお盆前。
私たち、この時期だけのとっておきの手みやげに出会うことができました。
「落雁(らくがん)」です。
8月が近づくと、お盆に向けて年に一度の落雁作りが始まります。 明治初期から受け継がれてきたという型にもまた、趣がありました。
ーー髙橋さん
型はやっぱりお菓子やにとっては宝。
最近は、ここまで繊細な型を作る職人さんがいなくなってきてる。とっても貴重な型なんですよ。
ヒビの入ってしまったものには、結束バンドをつけて固定。年にたった一度だけれど、毎年大きな役目を果たす落雁の型。
もちろん素材にも気を遣います。
お茶菓子としてお出しする際にはきめ細やかな和三盆を使用します。柔らかな口当たり、お客さんからも「おいしい」と声が届くほど好評なんだそう。
丁寧な手作業で繋がれてきた、大事な文化を守り続けたい・・・
ーースタッフ
やっぱり、手付きが優しいですね。
ーー髙橋さん
でもね、俺空手をしていたので、手が汚いんですよ。うちの父の手は、凄くお人形さんみたいな柔らかい手でした。
だからよく怒られてたんです。品が悪い手やって。
3代目の父、博美さんは髙橋さんが31歳の頃に他界。急な出来事で、何となくでしか考えていなかった
「後継ぎ」が髙橋さんに重くのしかかりました。
ーー髙橋さん
髙橋水月堂を潰してはいけないって、腹をくくったよね。
父はお菓子作りに関しては凄く実直で、私の技術はとても足元にも及ばないような大きな存在でしたね。
いつも父を追い越そう追い越そうと思ってね、一緒に仕事をしていたら、喧嘩をすることってあるじゃないですか。
そういう時は不思議と一日かかる仕事が半日で終わるんですよ。
ライバル心で作業が急いね。そりゃ2人とも速いんですよ・・・
自慢の父は、ライバルであり、追いつかない、大きな存在。
柔らかい手ではないけれど、これからも父に負けない優しい味わいを届けていきます。
――― 店舗情報 ーーー
▪髙橋水月堂 佐賀関本店
【住所】大分市佐賀関3332-2
【電話】097-575-0161
【営業時間】9:00~18:00
【店休】火曜日
★上生菓子をご購入の際は、事前予約をお願いいたします
▪髙橋水月堂 大在店
【住所】大分市汐見2丁目117-2
【電話】097-592-1715
【営業時間】10:00~18:00
【店休】火曜日