パソコンの警告画面に注意「サポート詐欺」報道記者・カスガウラが迫る特殊詐欺の手口

2021年12月31日 10:00更新

パソコンに突如表示されるウイルス感染の警告画面

 

 

パソコンでウェブサイトを見ている時に、突然ウイルス感染の警告画面が出てきた―。そうした経験はないでしょうか。偽の警告画面や音声で相手の不安をあおり、表示されたサポート窓口に電話をするよう促して、金をだまし取るのがサポート詐欺です。

 

騙されたふり取材

 

突撃取材がモットーの報道記者・カスガウラはそんなサポート詐欺の手口に迫りました。カスガウラはサポート詐欺に悪用されているという電話番号の情報を入手し、だまされたふりをして実際に電話をしてみました。

 

 

――電話に出た男

「もしもし。ありがとうございます。マイクロソフトサポートセンターでございます。エドワーズと申します。アメリカ人です」

 

――報道記者・カスガウラ

「今、外国につながっているのですか?」

 

――電話に出た男

「はい。心配しないでください」

 

――報道記者・カスガウラ

「日本人の方が出るのかなと思い、驚いて。日本語お上手ですね」

 

――電話に出た男

「ありがとうございます」

 

ダウンロードを迫る 

 

電話に出たのはマイクロソフトサポートセンターのエドワーズと名乗る自称アメリカ人の男。片言ですが、会話には支障がない程度の日本語を話していました。カスガウラは「パソコンに警告画面が出た」とだまされたふりをして伝えると、エドワーズは丁寧な口調で自分の指示通りにキーボードを入力するよう求めてきました。ただ、その内容は手元にあるマニュアルを読み上げているようにも聞こえました。

 

――マイクロソフトのエドワーズを名乗る男

「キーボードをご覧になってください。私が言うとおりにしてください。WWW。3つW。それから山(YAMA)のY」

 

 

こうしたわかりやすい言葉で説明して、カスガウラをとあるサイトに誘導。そこでは番号を入力すると、何かのファイルがダウンロードできるようになっていました。エドワーズは自分の言う通りに番号を入力するよう記者に告げ、さらにこう指示しました。

 

――マイクロソフトのエドワーズを名乗る男

 「ダウンロード開始できるしてください」

 

――報道記者・カスガウラ

「これはどういう作業?」

 

――マイクロソフトのエドワーズを名乗る男

「どうしたお客様?ダウンロード開始できるしてください」

 

――報道記者・カスガウラ

「いや、あの…」

 

――マイクロソフトのエドワーズを名乗る男

「ダウンロード開始できるしてください」

 

――報道記者・カスガウラ

「まだ、ちょっと…」

 

――マイクロソフトのエドワーズを名乗る男

「心配しないでくださいお客様。これは遠隔操作のためです。遠隔操作がないから、私が問題を確認できない」

 

カスガウラが知らないファイルをダウンロードすることをためらうと、エドワーズは語気を強め、こう畳み掛けてきました。

 

――マイクロソフトのエドワーズを名乗る男

「だから!これは一番危ない問題です。ハッカーたちはお客様のクレジットカードの情報を盗んで、お客様の全部の情報を盗むことができます。そして、全部のお金を盗むことがあります。だから、この問題はすぐに処理しないと、誰でも手伝うことはできない。わかりましたか?お客様の画面が真っ暗になって、お客様のパソコンが壊れる可能性があります。サイバーセキュリティーをお客様のパソコンに入れて差し上げます。ダウンロード開始できるしてください」

 

 

エドワーズは不安をあおる言葉とともに、「ダウンロード開始できるしてください」という言葉をわずか5分ほどの間に7回繰り返しました。とにかくカスガウラのパソコンを遠隔操作しようと執拗に迫ってきたのでした。

 

もしも、ダウンロードしてしまうと・・・

 

 

ダウンロードをして、遠隔操作を許してしまうと次のような展開が予想されます。詐欺グループは実際にはウイルスに感染されていないにも関わらず、相手のパソコンを遠隔操作して、問題が解決したように見せかけ、その後、信じた相手からサポート料金として金をだましとります。また、警察によると、詐欺グループに遠隔操作を許してしまうことで、パソコンの中の個人情報を不正にコピーされたり、不正なソフトをインストールされたりする危険性もあるということです。

 

大分でも1300万円をだましとられる被害

 

さらに一度金をだまし取られると、さらに詐欺グループにつけこまれる恐れがあります。2020年、大分県内ではこのサポート詐欺の手口でだまされた高齢の男性が「少額のため国際銀行での引き落としができない」などと追加の支払いを求められ、電子マネーあわせて約1300万円分をだまし取られる事件が起きました。

 

“その手には乗らない”

 

カスガウラは遠隔操作を迫る電話口の男の要求をかわし、ここで自分の正体を明かしました。

 

 

――報道記者・カスガウラ

「私は日本の記者です。皆さん自身が犯罪をやっていないですか?」

 

――マイクロソフトのエドワーズを名乗る男

「私は犯罪していない。私はマイクロソフトから話しています。東京のミナトシティー(港区)から話しています。お客様。私はマイクロソフトの社員です。これはマイクロソフトの仕事です」

 

エドワーズは「犯罪はしていない」と断言。そして、当初は外国から話しているとしていましたが、東京の港区から話していると翻し、自分がマイクロソフトの社員であると主張し続けました。もちろん、マイクロソフトはこうした行為を一切行っておらず、ホームページなどでサポート詐欺に対して注意するよう呼び掛けています。

 

 

 

――報道記者・カスガウラ

「マイクロソフトはそんなやり方をしていないといっているんですよね」

 

――マイクロソフトのエドワーズを名乗る男

「信じられないから電話を切ったほうがいいと思います。お客様、電話切ってもいいですか。電話切ってください」

 

電話を切るよう促すエドワーズに対し、カスガウラは最後にこう問いかけた。

 

 

――報道記者・カスガウラ

「最後に教えてください。犯罪はしていないですか?心は痛みませんか?」

 

――マイクロソフトのエドワーズを名乗る男

「・・・」

 

エドワーズはカスガウラの問いかけには答えず、ここで一方的に電話を切った。

 

特殊詐欺被害を防ぐために

警察によると、サポート詐欺の被害が多発する一因として、新型コロナウイルスの感染拡大による外出の自粛によって、自宅でインターネットをする機会が増えたことも考えられるそうです。また、全国では新型コロナのワクチン接種をかたる不審な電話やメールも確認されていて、詐欺グループは社会の不安につけこみ、金をだまし取ろうとしてきます。

そんな特殊詐欺に対して、私たちはできる対策はまずは相手にしないことです。パソコンに警告画面が表示されても、記者が今回の取材で行ったように表示された電話番号にかけるのはやめましょう。

 

また、携帯電話などに届いた不審なメッセージについても記載されたアドレスを開いたりするのもやめましょう。そして、迷った場合は相談を。警察ではダイヤル「#9110」で相談を受け付けているほか、最寄りの警察署でも対応してくれます。また、警察以外にも家族や知人など冷静な第三者に相談することも大切です。人の不安な気持ちにつけこんでくる特殊詐欺、まずは一度立ち止まって冷静になり、被害にあわない行動をとるよう心がけましょう。

 

2021年6月21日放送のサタデーパレットより

 

報道記者 カスガウラ(仮名)
取材リポート

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