胃がんの90%以上の原因菌! ピロリ菌を除菌しよう

2021年11月26日 09:00更新

ピロリ菌を知っていますか?実は3人から4人に1人が持っているという身近な細菌なんです。

 

ピロリ菌と胃がんの関係

 

ピロリ菌は正式には「ヘリコバクターピロリ」という細菌です。人の胃の中に生息し、胃がんを引き起こすことが分かっています。

 

胃がんはがんの死亡数で第3位のがんですが、この胃がんの原因のなんと90%以上がピロリ菌なんです。

 

このピロリ菌の危険性、予防方法や治療法について、大分大学医学部 消化器内科の沖本忠義医師にお話しを伺いました。

 

   ピロリ菌について解説する沖本医師

 

Q:ピロリ菌について教えてください。

「ピロリ菌は1982年に発見された人の胃の中にすむ細菌です。感染症を引き起こし、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍さらには胃がんを引き起こすことがわかっています。3人~4人に1人にピロリ菌の感染者がいます。5歳以下の子どもに感染し、一生感染が持続すると言われています。ピロリ菌は実は口の中の唾液や便の中にもいます」

 

Q:感染の原因は?

「家庭内での感染が約8割と言われています。しかも、お母さんから感染することが非常に多いということがわかっています。5歳以下のお子さんはお母さんとの接触時間が長かったり、離乳食をとるときにお母さんが自分が使ったスプーンや箸を使うことで感染するのではないかと言われています」

 

Q:大人同士の感染は?

「一過性に大人の体内にピロリ菌が入ることはありえます。ただ、大人の場合は免疫機構が発達しているために異物として捉えてそれを排除してしまいます。一方、5歳以下の子どもさんはまだ免疫機構の発達が未熟なため、また胃酸の量がまだ多くないということもあってピロリ菌が生着しやすいと考えられています」

 

Q:治療方法は?

「ピロリ菌は除菌ができます。3種類の薬を1日2回朝晩1週間服用することによって8割から9割ぐらいの方がピロリ菌がいなくなります。残りの1割ぐらいの方は消えない可能性がありますので、除菌治療を受けた方は必ずいなくなったか検査して調べる必要があります。もし、ピロリ菌がいなくならなかった場合は2回目の治療が保険診療で認められています。1回目と2回目の治療を受けることによって100人中98~99人の方がピロリ菌を除菌できると言われています。ピロリ菌を除菌することによって胃がんのリスクを下げることができます。」

 

   除菌前後の胃の写真

 

Q:検査方法は?

「ピロリ菌検査は胃カメラと同時に行うことをお薦めします。胃カメラはピロリ菌の感染の可能性を調べるだけではなくて、胃の中の病気や食道の病気を調べるためにも必要な検査です。胃カメラを使わない方法として血液や尿を使った検査方法もありますが胃カメラを行わないと保険診療外(自費)になることと、すでに発症している胃がんなどの病気に気が付かないことがあるので注意が必要です。」

 

沖本医師からのメッセージ

 

ピロリ菌は感染症という面も持っています。特に次世代の子供たちにうつしてしまう可能性があるので、自分の代で感染を止めるという意味でもピロリ菌を除菌するメリットは非常に大きいと思います。ピロリ菌は病気を引き起こすデメリット、特に胃がんの原因になるものです。できるだけピロリ菌感染者をゼロにすることを目指したいと思います。

 

ピロリ菌と胃がんの関係、原因や治療方法について詳しく解説していただきました。

詳しくは動画をご覧ください。

 

 

最後に

 

全国の自治体ではピロリ菌検査を「公費」で、という取り組みも出てきています。

県内では別府市と臼杵市で中学生のピロリ菌検査が行われています。

皆さんもピロリ菌感染者ゼロを目指して検査しませんか。

 

TOSではサタデーパレットで月に1回、医療に関する企画を放送しています。

 

TOSオンラインでも、記事としてご紹介するので是非、チェックしてください。

 

サタデーパレット スタッフ

最新のニュース