くじゅう山系の黒岳に向かった68歳男性が行方不明 予定の日になっても帰宅せず捜索続く 大分
大分地裁は「危険運転は認められる」として被告の男に懲役8年の実刑判決
2021年に大分県大分市で起きた時速194キロの車による死亡事故の裁判員裁判で、大分地裁は「危険運転は認められる」として被告の男に懲役8年の実刑判決を言い渡しました。
この事故は2021年2月、大分市大在の県道交差点で小柳憲さんが車で右折しようとしたところ時速194キロの車と衝突し亡くなったものです。
当初、大分地検は当時19歳だった被告の男を「過失運転致死罪」で起訴しましたが遺族の署名活動のあと、「危険運転致死罪」に起訴内容を変更し、裁判員裁判が開かれることになりました。
今回の裁判での最大の争点は「危険運転致死罪」が成立するかどうかでしたが、危険運転を巡る事故は全国でも起きています。
大分以外の事故の事例をTOS山路謙成記者が解説します。
危険運転を巡る事故は全国で 「過失」と判断された事故も
◆TOS山路謙成記者
2018年、三重県では時速146キロで走行していた車がタクシーと衝突し、5人が死傷しました。
この事故では運転手の男が「危険運転致死傷罪」で起訴されましたが、直線道路を走行出来ていて制御困難な速度とは言えないなどと判断され「過失運転致死傷罪」で判決が言い渡されました。
続いては2023年2月、栃木県で起きた事故についてです。バイクを運転していた男性が時速160キロ以上の車に追突され、亡くなりました。
この事故では検察は当初、男を「過失運転致死罪」で起訴しました。遺族が署名活動などを行った後、0月、検察は「危険運転致死罪」に変更するよう裁判所に請求し、認められました。栃木の事故は大分の事故と同様の経緯をたどっています。
傍聴した平松弁護士「社会運動によって検察が訴因変更をしたと言っても過言ではない」
◆平松まゆき弁護士
三重県の事件は、危険運転致死罪にならなかったが、被告人自身に自車を進路から逸脱させて事故を発生させるという認識がなかった。故意の問題として、「危険運転致死罪」にはしなかった。
だから今回の大分の事件とは判断内容は少し異なります。
栃木県でも大分と同じ経路をたどって、検察官が訴因変更を行って「過失運転致死罪」から「危険運転致死罪」に切り替えたという例があります。
これはまだ裁判中ということですけれども、そもそも訴因変更というのは、検察官が訴追した内容を変更、撤回、追加すること。
今回の大分の事件は被害感情であるとか、遺族、あるいは社会の皆さんの社会運動によって検察が訴因変更をしたと言っても過言ではないと思う。
そういう例は非常に珍しいと思います。そういった点からも全国的に注目をされていたということになりますので、栃木の事件も引き続き注目していきたいと思います。
平松弁護士「有識者会議が始まり、今後はより扱いやすい法律になっていくのでは」
◆TOS山路謙成記者
「危険運転」を巡っては法律を見直す議論も進められています。
国の検討会が27日、報告書をまとめました。それによりますと、「高速度運転」のほか「飲酒運転」に危険運転の対象となる具体的な数値基準を設けることなどが示されました。今後も法改正に向けた動きについても注目です。
こうした動きがありますが、平松さんは大分の判決が与える影響についてどのように感じていますか?
◆平松まゆき弁護士
今回の大分の判決は時速194キロだったから直ちに高速度だと認定をしたわけではない。
先ほど申し上げたように、いろんな客観的事情や危険を総合的に考慮した結果、「危険運転致死罪」の適用が出来るという風に判断しただけであって、まだまだやはり曖昧であることは否めないと思う。
ですから、有識者会議が始まりまして、年内には例えば速度の具体的な数値であるとか、アルコールの基準値なども示す方向であるということなので、今後はより扱いやすい法律になっていくのではないかなと思います。