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買い物弱者の支援に注目 移動スーパー
高齢者など買い物が困難ないわゆる「買い物弱者」を支援しようと大分県大分市で今月から移動スーパーが始動しました。
人口減少や高齢化などを背景に、県庁所在地でも消費者の手元に商品が届くまでの最後の区間「ラストワンマイル問題」が深刻になっています。
機動力をいかし、買い物弱者の救世主となるのか?注目されています。
全国に約900万人超の「買い物弱者」
農林水産省では自宅から店が500m以上離れていて、自動車の利用が困難な65歳以上を「買い物弱者」としています。
この買い物弱者について2020年の時点で、全国で900万人以上。大分県内にもおよそ9万5000人がいると推定されています。
こうした問題の解決策として注目されているのが、機動力をいかして柔軟に対応できる「移動スーパー」です。
県内で15台目となる「移動スーパー」が大分市で稼働
大分県大分市で今月、稼働を始めた移動スーパー。
全国で移動スーパーをフランチャイズ展開する徳島県の「とくし丸」と佐伯市に本社を置くマルミヤストアが提携し、運営しています。
食料品や日用品などマルミヤストアの商品およそ300品目を載せて高齢者などに向け訪問販売を行います。
◆マルミヤストア池辺恭行社長
「なかなか来店しにくい環境もあると思う。そういった客に新鮮な食材をお届けしてしっかりと(商品を)目の前で見て選んでもらえるというメリットもある」
移動スーパー「とくし丸」は他のスーパーと提携する車両もあり、県内で15台目となります。
住民1人1人とコミュニケーションをはかり「見守り役」も
今回、スタートしたマルミヤストア金池南店の「とくし丸」が訪れるのは、主に大分市で平日の5日間に滝尾や敷戸など6つの地域を回ります。
大分市といった県庁所在地でも、地域によって人口減少や高齢化などが深刻な課題となっていて今回のサービス開始につながりました。
◆マルミヤストア池辺恭行社長
「大分市というと買い物をしにくい人が少ないように思うかもしれないがやはり500メートル、1キロでも買い物がしにくいという人はたくさんいるので、そういった人に(商品を)届けるということで買い物難民が意外と多いエリアではないかと思い、大分市から出発させてもらった」
また、こちらの移動スーパーはまちの見守り活動も兼ねています。
販売スタッフが地域の住民1人1人とコミュニケーションを取り、異常を見つけた際は「見守り協定」を結ぶ各地域の自治体と連携することにしています。
マルミヤストアではこの「とくし丸」を11月に大分市の大在店でも導入予定で「移動スーパー」の需要は高まっているようです。
拡大する移動スーパー
大分県内の買い物弱者の数について2020年のデータを市町村別でみると、姫島村、国東市、豊後高田市、杵築市、そして津久見市で、各市町村の人口に占める買い物弱者の割合が30%を超えています。
最も低い大分市でも23.3%となっていて、住民のおよそ4人に1人が買い物弱者ということになります。
こうした買い物弱者の問題解決に取り組む「とくし丸」は移動販売を行いたいスーパーとその販売員を務める販売パートナーを結ぶという役割を担っています。
販売パートナーには販売車両の準備や衛生管理に関する研修など、開業前後の支援を行っていて、スーパーに対しては販売パートナーの募集・面接をサポートしたり事業計画を立てたりしています。
この仕組みで2012年の創業から稼働台数を増やしつつづけ、現在、全国でおよそ1200台稼働しています。
買い物弱者の問題や移動スーパーに関する今後の展望について「とくし丸」の新宮歩社長は「今後団塊の世代が75歳以上の、後期高齢者になってくる中で、体の問題や免許返納などで買い物が困難になる人は間違いなく増え、問題は深刻化していく。そういった人たちの買い物手段として、移動販売の需要は拡大する。買い物弱者という言葉をなくすためにも、稼働台数を3000台4000台と増やしていきたい。」と話しています。