増える空き家…治安悪化や災害復興の妨げに 誰のものかわからない土地、九州の面積に匹敵 大分

2024年06月05日 10:30更新

2024年4月「相続登記」が義務化

 

亡くなった人などから相続した不動産の名義を変更する手続き「相続登記」が2024年4月から義務化されました。
相続登記とは亡くなった人などから相続した不動産の名義を変更する手続きのことで、義務化された背景には、空き家や誰の物かわからない土地や建物が増えているといった問題があるんです。


 

総務省の2023年度の調査によりますと、賃貸用や別荘などを除いた、放置されている空き家の数は大分県内でおよそ5万6000戸あるということです。これは全戸数の9.3パーセントで、10戸に1戸近くは空き家ということになり、前回5年前の調査と比べて、0.9ポイント増加しています。


 

家財道具が残されたままの空き家

 

大分市内の空き家を訪ねました。
築およそ40年。10年ほど前まで現在の所有者の両親が住んでいましたが、両親が亡くなった後は空き家になっています。
いたるところが傷んでいて、家財道具も残されたままです。

この家の所有者は、不動産会社や行政書士などでつくる「空き家サポートおおいた」というNPO法人に相談し、今後、売却などに向けた準備を進めていくということです。


 

このように空き家対策を進めているケースはいいのですが、いま問題となっているのが、相続登記がされていないために、誰の物かわからない土地や建物なんです。

国の別の調査によりますと、全国にある所有者不明の土地をあわせると山林も含めて、なんと九州の大きさに匹敵するということです。


 

義務化の背景には東日本大震災が

 

こうした問題の解決につながればと始まったのが 相続登記の義務化です。
背景について、 専門家に聞きました。


◆県司法書士会 野田義一会長
「一番の契機は東日本大震災。復興事業で高台にいろいろなものを移設や移転するとか、いろんなことをする時に、登記上の名義人がわからない。解体したいけどその所有者の承諾が得られなくて解体するのもできないとか。空き家がどんどん放置されて、そこにいろんな悪い人が住み着いたりとか、そこを要するに犯罪の拠点にして活動が始まったりとか、そこを有効活用して何かしたいと言ったときに、何もできない」

治安や環境の悪化、公共事業がスムーズに進まないなどの背景があり、始まった相続登記の義務化。
正当な理由なく、義務を怠った場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。


 

相続登記について普段から家族で話し合いを

 

また、取材した司法書士によりますと、これまで任意だったため、何代も前の名義人になっているケースが多いということです。
そういった場合もまずは司法書士に相談してほしいということです。

相続登記をスムーズに進めるためには、まずは自分の親などが持っている不動産を把握すること、そして、相続について話をしておくこと。普段から家族で話し合いをしておくことが大切だということです。
また、空き家の管理に困っている場合は、各自治体やNPO法人空き家サポートおおいたなどで 相談を受け付けていますので活用してください。

 

最新のニュース