ラグビー・九州電力キューデンヴォルテクスが大分市で合宿
5月20日をもって休部することを発表したバレーボールVリーグの「大分三好ヴァイセアドラー」。
チームの30年の歴史に一旦幕が下ろされるのを前に、選手やOB、そしてファンがいまの心境を語ってくれました。
「5月20日をもってチームを休部する」
それは、選手にとってあまりにも残酷で受け入れがたい結末となりました。
その日が迫る中、所属している13人の選手たちは次の移籍先を探しながら、練習を続けています。
◆久保田雅人選手
「身近で休部という形になって、バレーボールが出来るのが当たり前ではないんだなって実感している」
◆武藤茂選手
「色々難しいことはあると思うんですけど、なるべくバレーボールを多く練習して試合に出られるような環境を探して頑張りたいと思う」
大分県大分市の三好内科循環器科医院を母体として、1994年に立ち上がったバレーボールチーム。
2006年に、大分三好ヴァイセアドラーとなり国内最高峰のトップリーグに昇格しました。
◆小川貴史さん(当時主将)
「1勝から始まった三好ヴァイセアドラーの歴史なので、自分たちのバレーで上を目指していく」
選手たちは日中、病院での仕事をこなしながらパナソニックやサントリーのような強豪相手にも堂々の戦いを見せてきました。
◆ファン歴18年 渡辺孝子さん
「こういう形でバレーのチームを作ってくれて感謝してる」
トップリーグ昇格の時から18年間応援している渡辺孝子さん。自身がバレーボールをしていたこともあり、すぐにファンになりアウェー戦を含めて多くの試合で声援を送りました。
◆ファン歴18年 渡辺孝子さん
「仕事半分、三好半分みたいな感じだったもんね。それがなくなるとなんか生活に張りがなくなるなと思って、けっこう三好の存在は大きかったかな」
19日に行われるファン感謝祭で、これまでの思いを選手たちに伝えるつもりです。
◆渡辺孝子さん
「忘れることはないと思うよ。だって18年もずっと応援してきたからさ。みんなね、ファンの人もね、三好を忘れないでね。また復活したときは応援してね」
ドイツ語で羽ばたいていく「白い鷲」を意味するヴァイセアドラー。
その創設者が三好博さんです。
病院の院長を務めるかたわら部長としてチームの運営にも携わってきました。
◆三好博さん(2016年)
「バレーボールも協調性を必要とするスポーツなので、とてもいい人間教育になっている」
地元で愛されるチームを目指し私財のほとんどを投じて、大分のバレー界を盛り上げるために奔走した功労者です。
しかし、2024年3月、69歳の若さでこの世を去り屋台骨を失ったチームは存続の危機に。
そうした状況を知って立ち上がったのが、地元出身選手として10シーズンにわたって活躍したОBの島崎征士郎さんです。
◆OB 島崎征士郎さん
「心の中で本当にこのままでいいのかなっていう、僕は何も行動しなくて本当に後悔しないのかっていうところがどんどんこみあげてきて」
チームを存続させようと現役の選手と協力してSNSで署名を呼びかけました。
全国から3000件を超える存続を求める声が集まり、リーグを統括する組織に提出しました。
しかし、その思いもむなしく、チームの運営を継続できる企業は見つからず休部という結果に至りました。
◆OB 島崎征士郎さん
「1つのチームを維持する、作るということがどれだけ大変なことなのかというのは改めて痛感させれられたし。たくさんの人の人生を背負わなきゃいけないという覚悟がいるんだ、それを(三好)先生は僕らのためにやってくれてたんだなって」
ただ、今回の決断は決して「廃部」ではなく、いつか来る再始動への希望を残しての「休部」です。
◆小川貴史チームディレクター
「一旦休部となるけどまた新しい可能性に向けてみんな頑張っていくと思う」
◆島崎征士郎さん
「もう一度白鷲が羽ばたくときがコートの中ではばたける日が来るといいなと思っている」
チームが復活するためには新たなオーナー企業が現れることが絶対条件です。しかし運営費は年間数億円かかるとされていて現状、見通しはたっていないということです。
大分三好ヴァイセアドラーの第一章の締めくくりとなるファン感謝祭は、5月19日に行われます。