「命を救いたい」子供の難病情報提供装い3000万の投資詐欺か 男を逮捕 県からは補助金 大分

2024年03月06日 18:40更新

逮捕された男は以前「人の命を救いたい」と話していました。

子供の難病に関する医療情報を病院に提供しているように装い、大分市の投資会社から3000万円をだまし取った疑いでIT企業の元役員が逮捕されました。

テレビ番組で自社のサービスについて語る男。
詐欺の疑いで逮捕された大阪府高槻市の職業不詳木許心源こと木許宣明容疑者50歳です。
木許容疑者は臼杵市にあったIT企業「隼斗」の会長を務めていました。

警察によりますと木許容疑者が役員を務める隼斗は「子ども難病ナビ」というサービスを運用し、「子供の難病に関する医療情報を提供する」とうたっていました。

そして2020年8月、大分市の投資会社に対し嘘の売り上げ実績を提示して3000万円を騙し取った疑いが持たれています。

県の資料などによりますと隼斗は「子ども難病ナビ」について、AIの技術で子供の難病に関する世界中の情報にアクセスして翻訳する独自のシステムなどと説明していました。

TOSの番組でも「難病で困っている人の役に立ちたい」と語っていました

◆木許宣明容疑者
「さまざまな難病で困っている人、医療機関、研究者の皆さんの役に立てるように。AIでたくさんの仕事をこなせるようになると思うので、より少ない人数でたくさんの人を救えるのでは」

県ビジネスプラングランプリ優秀賞…計1500万の補助金も

 

◆TOS佐野格記者
「逮捕された男が役員を務めていた会社は、県から合わせて1500万円の補助金をもらっていた。県は県警にことし1月被害届を出している」

臼杵市のIT企業「隼斗」の「子ども難病ナビ」は当時、県などにも評価されていました。
独創的なサービスなどを審査する県ビジネスプラングランプリでは2018年度に優秀賞を受賞し、補助金500万円。そして別のプロジェクトでも1000万円の補助金を手にしていました。

今回の逮捕について県は…

◆県経営創造・金融課平山邦昭課長
「ビジネスプランの実現を後押しする補助金で、このような不正が行われたことは非常に遺憾に感じている。適切な手続きを取っていたが結果としては見抜けなかった」

警察は木許容疑者以外にも、隼斗の社長を務めていた大分市に住む39歳のアルバイト従業員からも事情を聞いています。

この元社長は去年12月、県に対し「子ども難病ナビ」は最初から完成していなかったことを認めたということです。

◆県経営創造・金融課平山邦昭課長
「(元社長は)不正を行っていたという認識を持っていた。完了はしていなかったという趣旨の話はあった。どの段階からかは不明だが、ある程度悪意の持った行動をしていたという認識」

「隼斗」は2023年8月に大分地裁から破産手続きの開始決定を受けました。

県は補助金全額の返還を求める方針で、ことし1月、県警に被害届も提出しました。

警察は木許容疑者の認否を明らかにしていません。

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