「伝説の刀」復元 地元で奮闘する刀鍛冶の男性に密着「鍛錬方法は無数…寿命が足りない」【大分】

2023年10月26日 14:00更新

職人の道を究めようと地元で奮闘する大分県竹田市の刀鍛冶の男性。
2016年に地元・竹田市に工房を開いた刀鍛冶の興梠房興さん。
刀の魅力を伝え、刀鍛冶の技術を後世に残していきたいという興梠さんを、TOSのカメラマンが取材しました。


 

刀鍛冶の仕事で地元に恩返しができれば

 

日本刀の原料となる玉鋼を何度も何度も叩く男性。
刀鍛冶の興梠房興さんです。
2016年に地元・竹田市に工房を開きました。

――興梠房興さん
「自分の生まれた土地に恩返しが自分の刀鍛冶の仕事の中で、できればいいなと思っている」


 

「伝説の刀」の復元

 

地元で活動することを決めた後、最初に取り組んだ大きな仕事が「伝説の刀」の復元でした。
熊本県の阿蘇神社に伝わり太平洋戦争後、行方が分からなくなった名刀「蛍丸」を兄弟子と共に復元し神社に奉納したのです。

――興梠房興さん
「プレッシャーもあったし、当時作業しているときは体力的にも精神的にも余裕が無かった。振り返ったら良かったなと思う」


 

「鍛錬方法は無数…寿命が足りない」

 

大きな仕事を経て、さらに成長したという興梠さん。
それでも職人として、道を究めていくことに変わりはありません。
今回、作業風景を見せてもらいました。

日本刀の原料となる玉鋼を熱しては叩き、また熱しては叩くこれを繰り返すことで刀へと鍛えあげていきます。

――興梠房興さん
「一番時間が長いのは折り返し鍛錬ですね。材料を錬っているときが一番時間が長くて一番しんどくて」

折り返し鍛錬とは、玉鋼を叩いて延ばして折り曲げる工程で、不純物を取り除き強度を高めることができる。

ーー興梠房興さん
「ずっと鉄と対話してないと見落としてしまうので鉄を生かすも殺すもこの状態の時の見極めが大事。自分の奥義みたいなのがあって、それは人には見せられない。完全に自分のオリジナル。それを見つけた時には、すごく嬉しくて、そういうのがやりがい。それを見つけた時に思ったのが鍛錬方法は一つではなく材料に分けて無数に可能性があると。その時わかって寿命が足りないと思った」

ーー興梠房興さん
「作品は作ったら残る。後世に。自分が死んだあと、自分が作った刀を未来の人が見て良い刀だなと評価してほしいと思う」

現在、刀鍛冶は県内に2人だけ。
興梠さんは刀の魅力を伝え、刀鍛冶の技術を後世に残していきたいと話しています。


 

ーー興梠房興さん
「業界というか、全体を盛り上げ、先細りするのではなく100年後200年後の未来でも刀鍛冶が仕事して生活できるぐらいの展望は持ちたい。自分にできるところで頑張っていきたい」

興梠さんが復元に取り組んだ伝説の刀「蛍丸」は、11月18日に熊本県の阿蘇神社に「こしらえ」という日本刀の外装部分が奉納される予定です。
これで蛍丸のプロジェクトがすべて終わるということです。

 

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