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俳優で映画監督の齊藤工さんが、大分県別府市を舞台にした短編映画「縁石 ふちいし」を製作しました。
4月22日に別府市の別府ブルーバード劇場で開かれた完成披露試写会後、監督を務めた齊藤さんが、報道各社のインタビューで、作品に込めた思いや演出のこだわりなどを明かしました。
別府市ではコロナ禍の地域を元気づけようと、市内を舞台に短編映画が作られていて、「縁石 ふちいし」は、第3弾として製作されました。24日から別府ブルーバード劇場で上映中です。
齊藤さんの主な言葉は以下の通りです。
◆24時間前まで製作していた
――上映会を終えて
◆齊藤工さん
きのう(21日)ぐらいまで、仕上げのやりとりをしていて、完成したのがまだ24時間前ぐらい。
きょうという日が来なかったらまだやっていました。上映を一観客として観た上で、もう1個、監督として進化させたいなという部分が見つかった。
やっぱりこのブルーバード劇場で上映するものとして作ったので、そこにもう少し合わせていきたい。
見てもらうことで映画は改めて誕生する。その瞬間に立ち会えたことがとても幸せだった。
◆ドキュメンタリーの感覚で撮影
ーー演出については
◆齊藤工さん
街が丸ごとアートなので、どこを切り取ってもその側面がにじみ出る素晴らしい環境だった。
通常のカラーで撮影しても、少しレトロな風合いの街並みなので、現代と過去の差別化としてモノクロを用いた。
脚本もこういうセリフをここで言うという決まりごとはなく、入り口と出口というか、出発と着地の部分は大まかに決めていたが、本当に「ようい!スタート」、「カット」の部分だけじゃなく、(主演の)安部さんが別府に佇むという撮影外の時間も含めて、この作品の空気感でいてくれたので、ドキュメンタリーを撮っている感覚で作品を撮っていた。
通常の劇映画の現場とは(違ったので)、仕上がったものもまた(通常とは)違うものになったのではないかと思う。
◆「不思議な後味の作品になれば」
ーー狙い通りの演出になったか
◆齊藤工さん
演出という立派なものではなく、なんというか、緩やかさというか。
出来上がったものを何度も何度もスタッフ陣と見て、どの部分を抽出するか。
そこに収まっていたのはドキュメンタリーだったので、不思議な後味の作品になればいいなと。
明確ではないゴール地点を描いていたのだが、そのよさは、きょう見て、皆さんのリアクションを感じながら、間違ってはいなかったかなと。すごく不安だったが、今は少し安心している。
ーー大分の皆さんにこの映画をどのように見てもらいたいか
◆齊藤工さん
今、映画を見に行くことは、足を運ばなくてはいけないし、時間がかかるしお金もかかる。なかなか2時間の映画を観ること自体が、かつてよりカジュアルではなくなっている現状を、映画業界にいる人間として常に思っている。
ただこの短編という特性、そしてブルーバード劇場に行けば見られる。スクリーンの中で起こる物語だけではなく、劇場の壁や椅子の匂い、(岡村)照館長がちぎったチケットを受け取り、中に入っていく。その映画の前後の物語を味わっていただくきっかけになる映画になったらいいなと思う。
また別府の人たちだけでなく、国内外のツーリストの人たちが、別府に訪れた折に、ここでしか見られない短編映画という選択肢が、お風呂に入る、食事をする間に、この「縁石 ふちいし」を少しテイスティングする。そうしたブルーバード劇場の歴史を味わうための一つの選択肢になることを願っている。
◆意識したのはツーリスト
ーー別府短編映画の第3弾だったが撮影に入る前にどのように捉えていたか。
また次の第4弾、第5弾に何を期待するか。
◆齊藤工さん
私としては、壮大なオムニバスでもあると思っている。多分こういう企画のときに、多くのクリエイターが詰め込みすぎてしまう。自分のクリエイティビティをそこに集中しすぎないことが重要だと思った。
1弾2弾とはまた違う作風というか、総合的な幕の内弁当の一つになったらいいと思う反面、僕が意識したのは、ツーリスト。そうした人々が気軽に見られること。
自分が作った映画や出演作を持って、世界中のローカルの映画祭などいろんなところを回ってきた感想としては、なぜ日本の映画はイングリッシュサブタイトル、英語字幕がないのか。日本で上映するときに。歌舞伎とかは、英語があるのに。
言語の壁で、日本映画が海外の人に届かないという現状は、ここ数年ずっとあった。でもこのプロジェクトの中で、僕が一つ提案というほどではないが、英語字幕がありますという「with English subtitles」という文字に、ツーリストの方が異国での映画体験、岡村照館長が守ってきたブルーバード劇場に行くきっかけになることを、大いなる目的として作った。