認知症リスクを高める「難聴」 “耳鳴り”には要注意?セルフチェックで早期発見を

2023年03月09日 17:00更新

3月3日は「耳の日」です。

 

ここ数年で、耳の「聞こえ」と「認知症」には大きな関わりがあることがわかってきました。

 

 

「加齢による難聴」と「認知症」について、大分大学医学部・耳鼻咽喉科の川野先生にお話を聞いてきました。

 

認知症リスクを高める“難聴”

 

ーー大分大学医学部 耳鼻咽喉科 川野利明先生

 

「難聴が予防可能な認知症の一番のリスク因子だという調査結果が出ています」

 

 

こう話すのは、大分大学医学部 耳鼻咽喉科の川野利明先生です。

 

 

こちらは2020年に発表された研究データです。

 

 

 

「糖尿や肥満、うつや社会的孤立といった自分自身で予防が可能な12の要因」のうち、認知症のリスクが最も高いものが『難聴』であるという調査結果です。

 

 

ーー大分大学医学部 耳鼻咽喉科 川野利明先生

 

「難聴によって、耳からの音刺激が脳に刺激として伝わらなくなることによって脳の活動の低下が起きます。さらに耳の聞こえが悪くなることによって、他人とのコミュニケーション能力が落ち、それによって社会的孤独を引き起こします。人とコミュニケーションを取らなくなることによる認知機能の低下が、認知症の増加の原因になっていると言われています」

 

 

 

認知症のリスクを高める難聴。

 

しかし、自分が難聴であるかどうかは自分が意識しないとなかなか気づきにくいものです。

 

 

また、少しその症状が出ても「歳だから仕方ない」とか「痛くないから」と言ってそのままにしがちだそうです。

 

 

 

ーー大分大学医学部 耳鼻咽喉科 川野利明先生

 

「難聴を病気とは思ってない方がたくさんいらっしゃいます。少しでも聴力の衰えを感じたら病院に来ていただければと思います」

 

 

「聞こえにくくなったのかな?」と感じたら、すぐに対応すること。

 

それが「認知症の予防」につながるのです。

 

「自分は難聴?」判断方法は

 

では、どうしたら自分が難聴かどうかを判断できるのでしょうか?

 

その第一歩は「耳鳴り」がしているかどうか見極めること。

 

 

ーー大分大学医学部 耳鼻咽喉科 川野利明先生

 

「まず“聞こえ”なんですが、聞こえというのは、耳が『音刺激を電気刺激』に変換することによって脳は音を捉えることができます。難聴という状態が起きると、音が来ていないのに、普通は今まで聞こえていた音が、聞こえないといけないはずの音を、捕えろ!捕えろ!というふうに脳が過剰反応してしまうのが耳鳴りの原因」

 

 

 

耳鳴りは、実際に耳の奥で音がなっているわけではなくて「信号が来てないぞ、どうしたんだ?」という「脳の過剰反応」なのです。

 

 

認知症が気になるみなさん!

 

耳鳴りがしているのかどうか、自己診断の方法です。

 

 

夜、寝る前などに、なるべく音の無いところでじっとして「耳に意識を集中」させてください。

 

これだけです。

 

 

 

ーー大分大学医学部 耳鼻咽喉科 川野利明先生

 

「そうすると耳の中で『ジーンジーン』『キーンキーン』といった、周りの音とは違う音が聞こえる可能性があります。これを『耳鳴り』と言ってですね、この耳鳴りを感じるようであれば、難聴が起こってる可能性があります」

 

 

平均寿命がのびて増加傾向にある「加齢性」の難聴。

 

その発見の第一歩が「耳鳴り」で、少しでも感じたら認知症予防のためにも「それは病院に行った方がいい」というシグナルです。

 

 

 

ーー大分大学医学部 耳鼻咽喉科 川野利明先生

 

「耳鳴りのある方のおよそ90%に難聴があるというふうに言われています。なので、耳鳴りを把握するというのが難聴を早期に見つけるために最もベストの方法だと思います。特にやはり夜、静かなところに行った寝る前とかに耳鳴りを感じるようでしたら、やはり難聴が起こってる可能性がありますので、その時には詳しく病院に行って調べることが必要になるかなと思います」

 

 

加齢性の難聴には症状を改善する薬はありません。

 

「早期に発見」が大事です。

 

 

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