「あの日は忘れない」時速194キロ死亡事故、あれから2年・・遺族が心境語る

2023年02月10日 17:00更新

大分市の県道で、時速194キロの車による死亡事故が発生して9日で2年となりました。

 

 

署名活動などにより、起訴内容が危険運転致死罪に変更されるなど異例の展開となったこの事故。

 

 

亡くなった男性の遺族が心境を語りました。

 

事故から2年「(あの日は)忘れない」

 

仏壇の前で静かに手を合わせるのは、事故で亡くなった小柳憲さんの母親です。

 

事故発生から9日で2年が経ちました。

 

 

 

ーー小柳憲さんの母親

 

「(あの日は)忘れないですよね。あとから聞いた話では、最初、警察が話しかけたら(小柳さんは)一回うなずいてその後に声がなかった、うめき声はあったって」

 

 

優しく面倒見がよかったという小柳さん。

 

多くの友人から好かれていたといいます。

 

 

 

小柳さんが命を落とすことになった事故は、2021年2月9日の午後11時ごろに起きました。

 

 

大分市大在の交差点で、当時19歳の男が運転する車と小柳さんが運転する車が衝突。19歳の男は時速194キロで車を運転していたとされていますが、大分地検は当初「過失運転致死罪」で起訴します。

 

 

 

遺族は地検に対し、適用する罪名をより重い「危険運転致死罪」に変えるよう求め、これまでに約3万人分の署名を提出しました。

 

 

 

そして去年12月、地検が「危険運転致死罪」への訴因変更を大分地裁に請求し、認められました。

 

異例の“訴因変更” 今後の争点は

 

専門家は、速度を理由としての訴因変更は全国的にも異例だといいます。

 

 

ーー長崎総合科学大学 柴田守准教授

 

「遺族や支援者の訴えが通じたということと、それに呼応する形で世論の高まりがありました。この訴えというのはとても大きかったと評価されます」

 

 

法定刑のうち懲役部分は、過失運転致死罪が「7年以下」に対し、危険運転致死罪は「20年以下」で、裁判員裁判の対象にもなります。

 

 

 

ーー長崎総合科学大学 柴田守准教授

 

「公判では、一般国民である裁判員に対して分かりやすく説明をすることがなされます。一般人の感覚とどのように乖離しているのかというのが見えてくると思います」

 

 

一方で、別の専門家は「制御困難なスピードをどのように立証するかが重要なポイント。今回の公判で司法の安定性に疑念が生じる恐れもある」などと指摘します。

 

「事故を風化させたくない」

 

突然の別れから2年。

 

小柳さんの姉は事故を風化させたくないと強く思っています。

 

 

 

ーー小柳憲さんの姉

 

「まだこの昼間は彼が2年前は生きていて、まだこの昼には、夜、自分の命が亡くなるとは思っていなかっただろうという、今のこの時間を感じている。市民感覚との乖離を訴えていきたいと思うし、それが一番のいま、願い」

 

 

裁判員裁判の対象となった今回の事故。

 

法廷の場でどのような判断が下されるのか、今後の行方が注目されます。

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