昭和初期のノスタルジックな世界へ‥豊後大野市のレトロ建築を巡る【大分】

2022年10月24日 14:00更新

古い建物には味がある。

そしてそこから生まれるノスタルジックな雰囲気は非常に魅力的。

 

今回は大分県豊後大野市で昭和初期にできた、いわゆるレトロな建築物を2つ紹介する。

 

県内に残る唯一の木造役場「旧緒方村役場」

 

1932年、昭和7年に建てられた旧緒方村役場。

昭和初期の、木造の役所としては大分県に残る唯一のもので、先日修復工事が終了し、地元の皆さんをはじめ、建築ファンの話題となった。           

 

 

 

役場として使われたあとは公民館などとして使われていたが、1992年以降は使われずにいた。かつての緒方町は保存を目指したものの、費用の問題でなかなか実現には至らなかった。

 

今から3年前の2019年。

建物の状態をチェックしたところ、今なら、修復が可能と判明したため、去年の8月から改修工事を進め、今年6月に終了した。

 

当時の流行りを感じられる「スクラッチタイル」や「レリーフ」

 

この建物の大きな特徴の一つが、スクラッチタイル、と呼ばれる細い溝の入ったタイルの壁。

 

 

ーー豊後大野市教委 文化財係 諸岡さん

「これはスクラッチタイルといいまして、昭和初期の日本中の洋風建築で流行した建材の一種です」

 

そしてもう一つが漆喰で作られたレリーフ。

 

 

ーーTOS小笠原正典キャスター

「昭和初期って、日本の建築が百花繚乱の時代って言われていますものね。流行りが広がってきたのでしょうか?」

 

ーー豊後大野市教委 文化財係 諸岡さん

「天井の、これ漆喰で作られているレリーフなんですけど、この玄関にひとつあります。そして部屋の中にも1階と2階の天井にもあります。これも昭和初期の流行を示していると言われています」

 

外観の色合いは当初の再現を目指した。

90年前の外観、今はやりの「くすみカラー」である。

 

この「旧緒方村役場」。

普段は中に入ることはできないが、入ってみたい場合は「豊後大野市資料館」にお問い合わせを。 

 

この「旧緒方村役場」や「赤レンガ館」や「豊後森機関庫」などは国の「登録」有形文化財である。

 

多種多様な、近代の文化財建造物を後世につなげていくために作られた制度で、指定文化財とは違い改修費などの補助はないが、様々な活用や用途に応じてリノベーションなどができるのが特徴だ。

 

 

 

「大正モダン」を色濃く残す旧長田医院

 

こちらは三重町、かつて病院だった建物。旧長田医院。

 

大正末期の設計で、昭和2年に完成した。

「大正モダン」と言われるハイカラな芸術や文化、生活様式が地方にも広がった頃である。

 

 

 

昭和8年に撮られた写真には、車や自転車、そしてこの建物が写っている。

ここは大野郡最初の洋館と言われている。

 

 

 

院長が亡くなったあと、今から24年前、隣接する「ささや寿し」がこの建物を譲りうけた。そして、2001年(平成13年)にお食事処「れと絽」をオープン。

 

そのノスタルジックな雰囲気の中で美味しい、そして美しいお寿司などがいただける。

 

 

 

Q:「この建物で、女将さんの好きな場所どこですか?」

ーー藤田綾子さん

「やっぱり、受付ですね。昔の病院の名残を残してる。昔は中で、お薬をゴリゴリとして白い紙に折り込んで渡されてた、私たちの年は覚えてますよね」

 

レトロな建物を味わいながらの食事は格別だ。

築95年、いい味を出している。

 

 

 

豊後大野市にあるレトロな建築物たち。

大正から昭和初期にかけての空気味わってみてはいかがだろうか。

最新のニュース