コロナ禍で苦境の別府竹細工 ピンチをチャンスに前を向く

2021年10月22日 19:00更新
しなやかな曲線を描くオブジェに・・赤と黒で色付けされシックな雰囲気に仕上げられた花かご。
県内で唯一、国の伝統的工芸品に指定されている別府竹細工。

作品に使用する竹の多くは真竹だが、実は大分県は真竹の生産量が日本一。

別府市にある「永井製竹」。

創業113年を迎えたこちらの会社は竹のコップや皿などを製造し、問屋を通して全国に販売しているほか竹細工の材料を製造している。
 
かつては竹産業が盛んで、工場の敷地内では加工する前の竹が所せましと天日干しされていた。
 
しかし、いまではわずかな量しかない。
大量生産が可能なプラスチック製品に押され、竹の加工品の出荷量は右肩下がりに。

こちらの会社の加工品は主にホテルや結婚式場などに出荷されているが、新型コロナの感染拡大で臨時休業を強いられる所も多く出荷量の減少にさらに拍車がかかっているという。
 

コロナ禍で打撃

 

 

ーー永井製竹 茶重之社長
「売り上げは問屋もうちもかなり厳しい。去年よりことしの方が酷い」

去年の売り上げはコロナ禍の前と比べると4割ほど減少、ことしはさらに落ち込んでいるという。

こうした中、永井製竹では幅広い世代に竹製品の魅力について知ってもらおうとことし7月にホームページを開設した。

ネットでの通信販売も開始

 

ーー茶重之社長 
「本物の竹の器なりそういったものが認知されてない。この竹は本物だとかを広げていくこと。そういう機会を増やしていきたい」

一方、別府市で竹細工を制作する清水貴之さん。
竹ひごを編みバッグや花かごなど生活にいろどりを添える作品を生み出している。


新型コロナの影響は竹細工職人にも

 
ーー清水貴之さん
「しばらく何か月かしなあかんことがなんもなくなった」

清水さんはホテルなどから依頼を受けてオブジェの制作も請け負っているが去年は受注がほぼゼロになった時期もあった。
また、海外での展示会も去年は多くが延期や中止になったそうだ。
 


しかし、コロナの影響で仕事が減った分、作品に向き合える時間も増えたと清水さんはプラスにとらえている。

ーー清水貴之さん
「ずっとつくりたいと思っていた作品を作られるような時間ができた。結果的にこうして自分が元気にいられるから言えるセリフだけど悪くはなかった」

新型コロナの打撃を受ける別府の竹細工。
伝統工芸の灯を絶やさぬよう、関係者は耐え忍びながらも懸命に前を向いている。

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