“厄介者”のウニを高級食材に 国東市の企業の挑戦

2021年11月08日 12:00更新
寿司ネタなどでおなじみのウニが今、各地の海で大量に発生し海藻を食べつくすといった問題を引き起こしている。
 
こうしたウニは身がやせていて商品価値がないため漁業関係者からは厄介者扱いされているが、そのウニを活用してビジネスを展開しようという国東市の会社を取材した。 
 

”厄介者”のウニ

 

地球温暖化などが原因とされるウニの大量発生。海藻はウニによって食べつくされている。
こうした現象は海の砂漠、「磯焼け」と呼ばれ魚やサザエなどが育つことができず、いま、各地で問題となっている。
国東市の海にもたくさんのウニがいて漁師たちも頭を悩ませている。 
 
 
――地元の漁師は
「厄介者、一言でいえば。とにかく海藻を食い荒らして漁業者も困っている」
 
磯焼けした海で獲ったウニは、エサとなる海藻が少ないため身入りが悪く、商品価値がない。しかし、そんな状況のなか…
 
――柴田真里キャスター
「厄介者扱いされているこちらのウニを商品化しビジネスチャンスにしようという会社がこのほど大分に誕生しました」
 
国東市に4月に誕生した大分うにファーム。
身入りが悪いウニを漁師から買い取り施設の水槽で育てて商品として出荷しようという新たな取り組みだ。
 
施設の中はどうなっているのだろうか?
 

エサに秘密

 

 
――大分うにファーム 栗林正秀社長
「弊社がウニを飼育している水槽。飼育期間2か月間で最大飼育量が約3トン。年間18トンの生産量となっている」
 
施設の水槽で育ったウニは約2か月で出荷できるまでに育つ。
獲ったばかりのウニと比べるとその差は一目瞭然。
 
 
身入りの良いウニを育てるにはエサに秘密があった。
 
――栗林正秀社長
「昆布が主成分のエサを使っているので身入りも早く、甘みのある美味しいウニになる」
 
こちらがウニのエサ。 
 
 
食用昆布の切れ端で出来ていて、食べるのが遅いウニのために、水の中でも溶けにくいよう加工されている。
 
また、施設には海水をろ過するシステムがあり、水質と水温を適切に管理することで年間を通してウニを出荷できる体制を整えた。
こうした方法を伝えたのはノルウェーに拠点を持つ企業「ウニノミクス」。
 
――栗林社長
「厄介者のムラサキウニを課題として事業化できないかなということで、共同で試験を始めて今日に至った」
 
ノルウェーでも磯焼けが問題となっていてウニの有効活用について研究が進められる中、目を付けたのが世界一の消費国である日本だったそうだ。
 
 

国東から県外、海外に

 

現在、大分うにファームでは販路の拡大にも力を入れていて、この日は別府市内にある寿司のチェーン店で商談をしていた。
こちらの寿司チェーン店では県外から加工されたウニを仕入れていたが、地元産の新鮮なウニが入荷できることに興味を寄せていた。
 
――水天 溝口明史課長
「安定できるということに関してはうちみたいなチェーン店に関していえばものすごく強みになってくるのかと思う」
 
商業化に向けて本格的に動き始めた大分うにファーム。
 
――大分うにファーム 栗林正秀社長
「新たな取り組みが国東地域だけだはなくて県外や海外に今後この取り組みが発展するように販売発信をしていきたい」
 
磯焼けという環境問題を解決し、ビジネスチャンスにつなげようと意気込む大分うにファーム。
海の厄介者が、高級食材として生まれ変わろうとしている。
 
【2021年5月取材】
 

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