病院に隣接する「門前薬局」が主流の中、「かかりつけ薬局」を目指す明治創業の薬局アトツギ

2026年03月05日 21:00更新

病院を出ると、すぐ隣に薬局がある。多くの人にとって見慣れた光景だろう。

 

 

こうした特定の医療機関の処方箋を主に受け付ける「門前薬局」が主流の今、継続的な処方のほか薬に関する相談に対応する「かかりつけ薬局」を目指すアトツギがいる。

 

 

 

大分県日田市の伊藤薬局。創業は明治37年で「最大よりも最良の薬局たらん」という理念を掲げて長い間、地域を支えてきた。

 

 

 

その歴史ある家業を継ぐ5代目が、薬剤師の伊東大輝さんである。

 

現在、薬局業界では多くの薬局が、特定の病院の処方箋に頼る「門前薬局」となっている。

 

 

この状況は、薬剤師と地域住民との距離を遠ざけているのではないか。伊東さんはそう感じていた。また、飲み忘れや副作用の継続確認といった門前薬局だけではフォローにしくい部分についても「かかりつけ薬局」の存在意義が大きいと考えている。

 

 

 

原体験は「地域に寄り添う父の姿」

 

伊東さんの幼い頃の夢は、父のように誰かの力になることだった。

 

 

――伊東さん「元々、家と薬局が一体になったような暮らしだったんですけれども、閉店後に患者さんが家を訪ねてきて。体調が悪いですみたいな話を父にして、父が薬を選んだりとか相談に乗ったりとか(していた)」

 

 

 

親しみやすさを伝える「自己紹介チラシ」

 

地域との関係性を深めるため、伊東さんがまず考えたのが自己紹介のチラシだった。

 

 

 

――伊東さん「薬剤師って本来は身近な存在であるべきだと思うんですけれども、なんか親しみづらい存在になってるんじゃないかなと思うんですね。なので、こういったプロフィールを自分から開示していくことで、皆さんに親しみを持ってもらおうかなと思って」

 

 

自らの人となりを伝えることで、コミュニケーションの壁を取り払おうという試みだ。

 

処方箋が出た時だけではなく日頃からコミュニケーションができる薬局であろうと様々な取り組みを打ち出している。

 

 

その1つが、薬以外の商品の取り扱い。「なんでもない時でも気軽に立ち寄ってほしい」という思いからだ。

 

 

 

そして2026年2月に、新たな試みとしてイベントを開催した。

 

 

それが健康づくりに役立ててもらおうと月に1回、ネイルケアセラピストを招いて爪を切るサービスだ。

 

 

――伊東さん「昔の薬局っていろんなイベントがあって、なんでもないときに近寄れた存在だったと思うんですけれども、そういうのを現代でもやっていきたいなと思って」

 

 

 

LINEで実現する24時間対応の安心感

 

昼夜を分かたず患者さんに対応していた父の姿を鏡に、現代版にアレンジした対応を展開。

 

 

営業時間外でも受け付ける電話対応に加え、2年前にはLINEを使ったサービスを開始した。

 

 

 

処方箋の予約をLINEで受けることで患者の待ち時間を減らすだけでなく、薬や体調に関する相談を24時間受け付けられる体制を整えている。

 

 

――伊東さん「ちょっとした相談とか、そういったのは私のほうでいつも対応しております」

 

 

病院に行くまでもないような小さな悩みでも相談してほしい。これが伊東さんの願いだ。

 

 

 

伊東さんが目指しているのは、「相談しやすいかかりつけ薬局」。

 

 

――伊東さん「いろんな病院に行っても、うちにお薬を受け取りに来られたりとか、あらゆる困ったときに思い出してもらえるような。地域に必要とされる薬局になっていきたいなと思っております」

 

 

 

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