復興へ歩む天ヶ瀬温泉 豪雨で流れた橋の一部使いモニュメント完成 立ち退き対象喫茶店は営業再開 大分

2025年11月13日 11:10更新

2020年の7月豪雨で甚大な被害が出た大分県日田市の天ケ瀬温泉についてです。

 

 

災害の記憶を残していこうとモニュメントが完成したほか、地元で愛されてきた喫茶店も営業を再開しています。

 

 

復興に向けた歩み進める温泉街を取材しました。

 

 

 

◆TOS佐野格記者

 

「2020年にこちらの玖珠川が氾濫し、新天瀬橋が流されてしまいました。その新天瀬橋の一部を使って作られたのがこちらのモニュメントです。地域を襲った災害を後世に伝えて欲しいという願いが込められています」

 

 

5年前の夏。天ケ瀬温泉を襲った7月豪雨。

 

 

濁流が町を飲み込み玖珠川にかけられていた新天瀬橋が流されました。

 

 

橋は新たに架けられましたが、そのたもとに10月完成したのがこちらのモニュメントです。

 

 

「記憶のカケラ~架け橋~」と名付けられたこのモニュメント。豪雨で流されたかつての橋の一部を組み合わせて作られていて豪雨の恐ろしさが伝わってきます。

 

 

 

 

 

◆ハシノカケラの会 佐藤統久代表

 

「ただの伝承碑というだけでなく皆が集まれるような格好にしたかった」

 

 

今回のモニュメントを企画した地元グループの代表佐藤統久さんです。

 

 

佐藤さんたちは業者から鉄くずとなっていた橋の一部を引き取り彫刻家に依頼してモニュメントを制作してもらいました。

 

 

◆制作した彫刻家 森貴也さん

 

「災害は天ケ瀬(温泉)だけではない。各地で常に起こっていることなので天ケ瀬を訪れてあの作品を見たことで自分の古里や身近な人に思いを巡らせるきっかけになれば」

 

 

夜の天ケ瀬温泉です。復興への願いを込めこのモニュメントなどがライトアップされているほか、地元の子どもたちなどが作った灯りも。温泉街にある桜滝も照らされていて観光客などを出迎えています。このライトアップは11月16日まで行われています。

 

 

一方、天ケ瀬温泉では今川の氾濫を防ぐため川幅を拡幅する事業が進められています。

 

最大12メートル広げる予定で、周辺の住宅や旅館など28軒が立ち退きの対象となってます。すでにこのうち7軒は移転しているということです。

 

 

JR天ヶ瀬駅前で喫茶店を営んできた岡山富美子さんです。

 

 

前の店が立ち退きの対象となり2025年の夏に取り壊されました。

 

 

それでも、愛する町で店を続けていきたいと駅の空きスペースを使って11月から本格的に営業を再開させています。

 

 

地元の人や観光客がくつろげる場所になればと話しています。

 

 

◆あづき 岡山富美子さん

 

「これから河川が広くなって安全安心な街になってきれいになって、新しい家が建つようになるのかと思うとその辺までは見ていたい。(天ケ瀬温泉)の静けさが好きという人もたくさんいるのでそういう場所でありたいし、そういうところでくつろげる場所を提供できればいい」

 

 

豪雨から5年が過ぎた天ケ瀬温泉。あの日の記憶を形に残そうとする人たち。そして新たなスタートを切る人たち。

 

 

ともに地域の復興を願い、歩みを進めています。

 

 

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